こんにちは、イングリッシュ・ドクターの西澤 ロイです。
シアトル・マリナーズで、会長付特別補佐兼インストラクターとして
後進の指導に当たっているイチロー選手が、特別功労賞授与式で
英語でスピーチをしました。
これは、なかなかすごいニュースです。
なぜなら、イチロー選手は、インタビューを受ける時には
基本的に通訳を通していましたから、なかなか英語で
しゃべっている姿が公になることが無かったのです。
数少ないケースの1つが「ルー・ゲーリッグ賞」を
受賞した時のスピーチです。
この時は、本当に短く、1分にも満たないものでした^^
Hello, everybody. I’m Ichiro Suzuki from the Miami Marlins.
(こんにちは、みなさん。私はマイアミ・マーリンズのイチローです)You might be expecting a speech.
(あなた方はスピーチを期待されているかもしれません)But, like home runs, speeches in English are not my game.
(しかしながら、ホームラン同様、英語でのスピーチは私の得意分野ではありません)Even so, I’m very happy to be here and thank you for having me.
(それでも・・・この場にいられてとても幸せですし、賞をいただきどうもありがとうございます)
また、画質はちょっと悪いですがこんな映像もあります。
アメリカの英語で好きな表現はと聞かれたイチロー選手です。
August in Kansas city is hotter than two rats fucking in a wool sock.
(カンザスの8月は、毛糸の靴下の中でヤッている2匹のネズミよりも熱い)
で、そもそもイチロー選手は、日本語であっても、
考えながら、言葉を選んでしゃべる方です。
ですから、英語でスラスラとしゃべることを
期待しても仕方がありません。
もちろん、もう長年アメリカにいらっしゃいますので
英語で生活できるだけの英語力は当然お持ちでしょう。
そして今回、約5分間にわたって、英語でスピーチをした
というのは非常に貴重な機会です。
原稿がありますが、原案はイチロー選手が作り、
そこにネイティブチェックが入っていると思われます。
ぜひご覧ください。
英文の文字起こしと、日本語訳をつけておきました。
On the night we celebrate one of the best to ever do it, Ichiro Suzuki addressed the crowd during the pregame ceremony. 5️⃣1️⃣ pic.twitter.com/bhy3dfGHe9
— Seattle Mariners (@Mariners) September 15, 2019
Thank you.I’m so nervous.
(ありがとう。とても緊張しています)
Okay, let’s do it.
(よし、始めましょう)
Dee, Yusei… no crying tonight.
(Dee Gordon、菊池雄星、今夜は泣かないでくれ)
No crying.
(涙はなしで)
This is a happy occasion.
(今日はとても幸せな時です)
When I retired that night in Tokyo, I had an incomplete feeling
(私が東京で引退したあの夜、実は不完全燃焼でした)
because the great fans of Seattle could not be there.
(シアトルの偉大なファンたちがその場にいられなかったからです)
Tonight, I want to express my appreciation to you for your touching support over the years.
(今夜は長年、温かくサポートしてくださったみなさんへの感謝の気持ちを表したいと思います)
When I came to Seattle in 2001, no position player had ever come from Japan before.
(私が2001年にシアトルに来た時点では、日本から野手が来たことはそれまでありませんでした)
The one you got was 27 years old, small and skinny.
(来た野手と言えば、27歳で、小柄でガリガリでした)
And unknown.
(どこの馬の骨かも分かりません)
You had every reason not to accept me.
(私のことを受けれなくて当然です)
However, you welcomed me with open arms.
(しかし、私のことを温かく受け入れてくれたのです)
And you have never stopped.
(常にです)
Even when I left and came back.
(私がチームを一度去り、そして戻ってきた時も)
I was so grateful for the chance to return in 2018,
(2018年に戻れた時は本当にうれしかったです)
and the reason is you fans.
(その理由は、あなたたち、ファンの存在です)
Thank you, Seattle.
(ありがとうございます)
I also appreciate the fans across America who supported me in New York,
Miami, and even in many places as a visiting player.
(また、NYやマイアミ、またそれ以外の地域に遠征した時にも
応援してくれたアメリカ中のファンにも感謝申し上げます)
Baseball is truly a national pastime in America.
(野球は本当に、アメリカの国技だと言えます)
I was so happy to play in front of the people who love and respect the game so much.
(野球をとても愛し、敬意を表する人たちの前でプレイできたことが本当に幸せです)
It has been an honor to play baseball with and against some of the greatest competitors I have ever known.
(偉大なライバルたちと一緒に、もしくは敵として、野球ができたことを光栄に思います)
They inspired me to raise my game to a higher level.
(彼らのおかげで、私も大きくレベルアップできました)
Now I have the pleasure of spending time with these young and talented players
(今は、才能あふれる若い選手たちと一緒に時間を過ごせることを楽しんでいます)
who will bring the franchise a championship.
(彼らはきっとこのチームに優勝をもたらしてくれるでしょう)
Despite the language and culture gap, not to mention an age difference of 20 years,
(言語や文化の違いにも関わらず、言うまでもなく20歳の年齢差にも関わらず)
I enjoy being around them because I feel their passion for the game I love is genuine.
(彼らと一緒にいることが楽しいのは、私が愛する野球への彼らの情熱が本物だからです)
As I look back through my career, if there is anything that gives me pride
(自分のキャリアを振り返ってみて、もし自信が持てるものがあるならば)
it is that I overcame the daily challenges and I have an equal passion for each day,
(それは日々挑戦すべきことを乗り越えたからであり、一日一日、同じ情熱を持ち続けられたことです)
from the first one in 2001 to the last one in 2019.
(2001年の最初の日から、2019年の最後の日まで)
As we enter the final days of a long season, every player should remind himself,
(長いシーズンの最後の時期に入りますが、全ての選手が思い起こすべきです)
“What does it mean to be a professional?”
(プロフェッショナルとはどういうことなのか?)
These last days are just as important as the first ones and all those in between.
(最後の日々も、最初の日々や、途中の日々と同じように大切です)
Every day, you need to go about your business with the same passion.
(毎日、同じ情熱をもって向かう必要があります)
That is the greatest gift you can give to your performance and to the fans who come to enjoy this special game.
(その情熱こそが、自分のパフォーマンスに込められる、そしてこの特別な試合を見に来たファンに与えられる最大の贈り物なのです)
To the Seattle Mariners organization, I am forever grateful to you for giving me the chance to play the game I love in the city I have come to love.
(シアトルマリナーズに対しても、大好きな野球を、シアトルという大好きになった街でできるチャンスをくれたことに永遠に感謝いたします)
Thank you also to my family for your endless support.
(限りないサポートをしてくれた家族にも感謝します)
Now, let’s play baseball!
(では、野球をしましょう!)