英語で「~になりたい」を「want to become」とはどうして言わない?

 

...英語で「~になりたい」を「want to become」とはどうして言わない?


先生にbecomeではなくbeだと言われました

先日、大阪での講座を受けてくれた高校生の方から
ご質問をいただきました。
 

Q.「私はお医者さんになりたい」を
I want to become a doctor.
と書いたら、先生から
「英語ではbecomeではなくbeを使ってwant to beと言うんだ」
と言われました。
なぜbecomeではダメなんでしょうか?

 

実はこれが「英語ができるようになるか」を左右する!

これは、2つの意味で非常に重要なポイントを
含んでいます。
 
納得しながら学べるか、それとも、
よく分からないままに暗記をするか……。
 
こういう積み重ねが、英語ができるようになるかを
左右することになる、というのが1つ目です。
 
この後で、じっくりと解説しますので、
英語の考え方をぜひしっかりと理解してください。
 
そしてもう1つ、「●●ではダメ」という
覚え方は良くありません。
 
日本での従来の英語教育では
「あれはダメ」「これはバツ」
という減点が幅を利かせていました。
 
しかし、そうやって英語を学んでしまうと、
間違いが怖くなってしまって、
コミュニケーションが取れなくなってしまいます。
 
ですから、まず最初にお伝えしておきます。
 
becomeでも全く問題ありません。
 
I want to become a doctor.
で100%通じます。

 
ただ、ネイティブは普通はbeを使う、というだけなんです。
becomeがダメ、とは思わないでくださいね。
 

ネイティブスピーカーの考え方とは?

では、どうしてネイティブがbecomeではなく
beを使うのか、英語の考え方をぜひ知ってください。
 
becomeというのは「~になる」という意味ですよね。
 
例えば、
I became a doctor 10 years ago.
と言えばもちろん
「10年前に医者になりました」
という意味です。
 
でも、それはあくまでも10年前の話。
今も医者をやっているとは限りませんよね。
 
・・・そうなんです。
 
becomeというのはあくまでも「なる」という
変化を表わすだけなんです。
 
でも、日本語で「医者になりたい」という
時にはきっと、ずっと医者でやっていくという
気持ちがあるはずですよね。
 
医者になった後にはずっと
I am a doctor.(私は医者です)
なはず……。
 
ですから、欲しいものは
「become a doctor」
よりも
「be a doctor」
なんですよ。
 
ですから、
I want to be a doctor.
と言うのです。
 

補足:to不定詞には「まだしていない」ニュアンスがある

もう少し、補足をしておきましょう。
 
「want to (do)」をただ「~したい」と
日本語で訳すのではなく、もう少し
感じてみましょう。
 
want は「欲しい」ですよね。
 
そして前置詞の to には「矢印」のような、
そこに向かうニュアンスがあります。
(だから「go to ~」で行き先を表わします)
 
そこから、to不定詞を使う場合には、
「まだしていない」というニュアンスが
出ることが多くあります。
 
もっと正確に言えば、まだしていない
ことを(本質的に)表わす動詞は
to不定詞を伴うのです。
 
例えば
・ask(頼む)
・tell(命じる)
・need(必要がある)
・request(要求する)
・order(命令する)
などですが、これらは全て、
まだしていないからこそ、

頼んだり、必要があったり、
命じたりするわけですよね。
 
さて、toが「まだしていない」
ニュアンスを持つということは
to be a doctor
はこれだけで
「(これから)医者になる」
という意味にも取れる
ことに
なるんですね。
 
こういったことを総合すると、
I want to be a doctor.
のようにbeを使うのが自然であり、
最も一般的だと言えます。
 
しかし、私たちは英語のネイティブ
ではありませんから、becomeを使って
も間違いなく通じますし、
 
それを「ダメ」だなんて思うべきでは
ありませんのでご安心ください。
 


  • この記事を書いた人

    イングリッシュ・ドクター 西澤ロイ

    イングリッシュ・ドクター(英語のやさしい“お医者”さん)。
    英語が上達しない原因となっている「英語病」をなおす専門家。
    TOEIC満点(990点)、英検は4級。獨協大学英語学科を卒業。言語学を専攻。

    著書に「頑張らない英語」シリーズ(あさ出版)、新刊『英語学習のつまずき50の処方箋』(ディスカヴァー21)など、計11冊で累計17万部を突破(書籍の一覧はこちら
    日本人が「英語ができない時代」を終わらせることを目指して日々活動中。