自著の廃棄処分というピンチから奇跡が起こったお話。

 

...自著の廃棄処分というピンチから奇跡が起こったお話。


「断裁処分」という大ピンチ

こんにちは、イングリッシュ・ドクターの西澤ロイです。
 
私はこれまでに、紙で10冊の書籍を出版してきました。
その中で、2017年12月に出した
・赤本(『TOEIC L&Rテスト最強の根本対策 PART1&2』
と、2018年3月に出した
・青本(『TOEIC L&Rテスト最強の根本対策 PART5』
の2冊に関して、非常に残念なお知らせが
先日、出版社から届きました。
 
それは、この2冊に関して、在庫の約3,000部を
断裁処分(=廃棄処分)にする――というのです。
 
なぜかというと、売れる見込みがないからです。
在庫として持っておくと、倉庫代がかかる上、
資産と見なされるために税金もかかってしまいます。
 
ですから、売れる見込みがない書籍の在庫に関しては
断裁処分をして、リサイクルに回してしまう――
それが出版業界で普通に行なわれていることなのです。
 

著者としての葛藤と悲しみ

しかしこれは、著者にとって「はい、そうですか」と
簡単に受け入れられる話ではありません。
 
なぜなら、本というものは、自分の魂を込めて執筆
した、自分の子どものような大事な存在だからです。
 
特に、この2冊に関しては、たくさんのモニターさんの
ご協力を得て開発した教材でもあり、とても思い入れも
あります。
 
何よりも、読者の評価もとても高く、いったん
英語学習者に手に取ってもらえれば、必ず
お役に立てる――そういう本なのです。
(上記のリンクよりアマゾンレビューをご参照ください)
 
さらに赤本は、英語本をなんと150冊以上
出版されている大作家の晴山陽一先生に、
「名著」だと評していただいたことも
あるのです。
 
だからこそなおさら、売れていないから
廃棄処分にします・・・と言われて
受け入れられるものではありません。
 

クラウドファンディングへの挑戦

出版社から、9月末にて廃棄処分をします、
という連絡をもらったのが9月2日でした。
 
数日間悩んだ末、僕は緊急の
クラウドファンディング企画を行なうことに
決めました。
 
そして、3,000部のうち、1部でも多くを
救おう――と(もちろん出版社の許可を得て)
行動を開始したのです。
 
具体的には、「2冊の本を廃棄処分から
救うためのタイムセール」という形で
企画しました。
 

 
基本的に、書籍の新品は、定価でしか
購入することができません。
 
しかし今回は、出版社の許可を得て、
サイン本として販売することで、
33%引きでの限定販売を行ないました。
 

クラウドファンディングの経過と結果

廃棄処分までの時間がない中、
わずか10日間での挑戦でしたが、
まず3日目で、最低目標として掲げた
300部の救出に成功しました。
 

 
そして6日目には、次に掲げた目標である、
倍の600部救出も無事に達成することが
できました。
 

 
そして、最終的に10日間の累計で、なんと
418名もの方からご参加・ご支援をいただきまして
1,105部の救出に成功しました。
 
これはただただ、多くの方々の応援のおかげです。
本当にありがとうございました!
 

 

 
3,000部という数字はさすがに大きすぎましたが、
1,105部に、個人的に少し上乗せをし、
合計1,400部の買い取りを出版社さんには
連絡させていただきました。
 
それがクラウドファンディング終了日の翌日、
9月27日のことです。
 
それにより我が家には、赤本と青本が入った
30箱ものダンボールが届きました。
 

 
これらの本、1冊ずつに心を込めてサインを
書き、購入者の方々にお送りする――というのは
もちろん必要なことですが、既に完了しました(10/23現在)。
 

そして、奇跡が起こりました…

2日後の9月29日の昼前に、
出版社から1通のメールが届きました。
 
そのタイトルは・・・
 
「TOEIC対策書籍二冊の断裁取りやめのお知らせ」
 
です。。。
 
そう、出版社が今回のクラウドファンディングの
成功を受けて、断裁処分を取りやめるという決定を
してくれたのです!!!
 
これは本当に嬉しいことでしたし、クラウド
ファンディングの参加者の方々は、まるで自分のこと
のように喜んでくださいました。
 
・・・が、それだけでなく、これは出版業界においても、
非常に稀な事例だと言えます。
 

今回の挑戦の社会的意義&SDGs目標12との関わり

持続可能性が叫ばれる現代において、廃棄処分を
出さないことは、とても大切なことです。
 
しかし、出版業界では、紙の書籍と雑誌を合わせて
およそ6,500億円もの損失が毎年、廃棄処分により
出ていると推定されるのです。
 
出版社などの、内部にいる人の多くにとっては
廃棄処分は日常の一部であり、一種の「諦め」
のようなものが存在していると言えます。
 
また、自著が廃棄処分になってしまい、
涙を飲んだ著者も、山のように存在します。
 
しかし今回、諦めの悪い1人の著者が、
緊急クラウドファンディングを実施し、
断裁処分の回避に成功しました。
 
これは、書籍の廃棄処分を回避するための
1つの新しい可能性であり、今後同じ
状況が訪れた出版社や著者にとって、
何らかのヒントになるような、
社会的に意義のある挑戦だったと
言えると思います。
 

プレスリリース発表と記者会見(英語版も)

そこで私は、プレスリリースを発表しました。
 
<プレスリリース>
【SDGs 目標12】緊急クラウドファンディングの結果、 廃棄処分予定だった英語学習書籍3,000部の救出に成功!

 
また、報告の記者会見も実施しました。
(ぜひご覧いただけますと嬉しいです)
 
【SDGs目標12】奇跡的な救出劇 報告記者会見YouTubeライブ

 
そして、通訳の橋本美穂さんにお願いして、
英語の同時通訳音声をつけていただきました。
 
[SDG 12] Miracle Save: 3,000 Copies of Books Escape Scrapping (Press Conference)

 

最後に伝えたいこと

今回、僕が行なった挑戦は、誰にでもできること
ではないかもしれません。
 
しかし、1つだけ言えるのは、
「信じて行動したこと」
が良い結果につながったということです。
 
行動したからといって、良い結果が必ずしも
出るとは限りません。
 
しかし、悔いのないように、精一杯のことを
やったからこそ、予想を超えた奇跡的な
出来事が起こってくれたのだと思います。
 
ちなみに、僕が何を信じたかというと
「ピンチはチャンスでもある」
ということです。
 
ピンチは誰にでも起こりますし、
いつ起こるか分かりません。
 
しかし、それをうまく裏返すことができれば、
何か大きなことを為すことができるチャンス
なのかもしれないのです。
 
そんなメッセージ/ヒント/気づきなどを
お届けできたならば嬉しいです。
 
最後までお読みくださいまして、
本当にありがとうございました。
 


  • この記事を書いた人

    イングリッシュ・ドクター 西澤ロイ

    イングリッシュ・ドクター(英語のやさしい“お医者”さん)。
    英語が上達しない原因となっている「英語病」をなおす専門家。
    TOEIC満点(990点)、英検は4級。獨協大学英語学科を卒業。言語学を専攻。

    著書に「頑張らない英語」シリーズ(あさ出版)、新刊『英語学習のつまずき50の処方箋』(ディスカヴァー21)など、計11冊で累計17万部を突破(書籍の一覧はこちら
    日本人が「英語ができない時代」を終わらせることを目指して日々活動中。