英語で「事故が起きた」はなぜhaveなのか?

 

...英語で「事故が起きた」はなぜhaveなのか?


haveのコアにある意味

こんにちは、イングリッシュ・ドクターの西澤 ロイです。
 
多くの英語学習者の方が、
「haveには意味がたくさんある」
と思ってしまっています。
 
haveだけではありません。
takeやmakeなどの基本的な動詞に対して
そのように思ってしまっています。
 
「意味がたくさんある」と思っている人は、
これらの「語義」、もしくは「日本語訳」を
1つ1つ暗記してしまうことになります。
 
それだと、理解の方法として正しくありませんし、
非効率的ですので、オススメできません。
 
大切なのは英語感覚を掴むことなんです。
haveが持つ英語感覚の詳細については、
こちらの記事をご覧ください。

 
これは感覚のお話ですから、究極的には、
言葉で定義することや説明することは
難しく、「感じる」しかないものです。
 
しかし、敢えて近い日本語を使って
表現するならば「なわばり」
が近いので
私はそうやって説明しています。
 

質問:事故が起きることになぜhaveを使う?

そこで、こういうご質問をいただきました。
 

事故が起きた。とかいう時に
I had an accident. と言いますよね?
なぜ「事故が起きた」で、have なんですか?
起きた時の have のイメージが、
「縄張り」のイメージと結びつかないのですが…

 
これ、非常に素晴らしいご質問です。
 
なぜなら、うまく理解できないという
つまずきを、超えようとしているからです。
 
私は「ウノミー(別名:暗記病)」と
呼んでおりますが、
「英語はそういうものだ」
といって丸暗記をしようとする人が
たくさんいます。
 
そういう姿勢だと、残念ながら英語は
理解できません。
 
日本語と英語は感覚が大きく違いますから、
分からないところは、自分から「掴みに行く」
ことが非常に大切なんです。
 
ですから、「事故があった」は
「have an accident」などと棒暗記を
してしまってはもったいないんです。
 
上のような質問が出ることが大切なのです。
 

「なわばり」という言葉に捉われないで

まず、ひっかかってしまいやすいポイントは、
日本語の説明です。
 
感覚は、究極的には説明ができないものです。
 
しかし、言葉で伝える以上、それを何らかの
言葉や記号に置き換えるしかありません。
 
have が表す意味は、専門的には「HAVE空間」
と言います。

 
そうとしか表現できないからなんです。
 
でも、それだと伝わりづらいので、私は敢えて
(できるだけ誤解が生まれづらいように)
「なわばり」という言い方をしています。
 
しかし、haveが「なわばり」を意味している
わけではないんです。
 
have が意味している「HAVE空間」が、
あくまでも「なわばり」に近いだけ――。
 
そこはうまく「感覚をチューニングする」
必要があります。
 
だからこそ、今回のような質問をすることは
重要であり、素晴らしいのです。
 
日本語(ここでは「なわばり」)に
捉われることなく、haveを感じてください。
 

haveは「起こる」ではない

質問者の方は、
「事故が起きた」
という言い方をしています。
 
つまり、事故が主語だという風に捉えている
ことがおそらく感覚的に掴めない原因では
ないかと想像します。
 
日本語では「事故が起きる」という言い方もできますが、
他にも
「(私が)事故にあう」
という言い方もしますよね。
 
「あう」は、人が相手だと「会う」と書いて
英語だと see や meet を使って表現しますよね。
 
しかし、災難の場合だと「遭う」という
漢字にしますよね。
 
これを「そういう経験を持った」という意味で
英語では have を使って表現する、
という風に考えていただくと理解しやすい
のではないかと思います。
 
I had a good time.(楽しい時間をすごした)
I had an interview.(面接があった)
I had a surgery.(手術をした)
I had an accident.(偶然の出来事があった)
 
全て、私の経験として、
過去に「持った(自分のところにあった)」のです。
 


  • この記事を書いた人

    イングリッシュ・ドクター 西澤ロイ

    イングリッシュ・ドクター(英語のやさしい“お医者”さん)。
    英語が上達しない原因となっている「英語病」をなおす専門家。
    TOEIC満点(990点)、英検は4級。獨協大学英語学科を卒業。言語学を専攻。

    著書に「頑張らない英語」シリーズ(あさ出版)、新刊『英語学習のつまずき50の処方箋』(ディスカヴァー21)など、計11冊で累計17万部を突破(書籍の一覧はこちら
    日本人が「英語ができない時代」を終わらせることを目指して日々活動中。