「選ぶ」行為の重要さ(テラ・ルネッサンス鬼丸さんの講演を聞いて)

 

...「選ぶ」行為の重要さ(テラ・ルネッサンス鬼丸さんの講演を聞いて)


こんにちは、西澤 ロイです。
 
一昨日、私が大変お世話になっている
FISソリューションズさん
10周年記念イベントがありました。
 
そこで、特別講演の時間があり、
鬼丸昌也さんのお話を久しぶりに
聞くことができました。
 
テラ・ルネッサンスの鬼丸さんに
前回初めてお会いしたのは4~5年
くらい・・・かと思ってFacebookで
確認したら、2012年ですから7年前でした。
 
前回は、カンボジアでの地雷除去のお話
を聞き、衝撃を受けたのを覚えています。
 
そして今回は、ウガンダやコンゴにおける
子ども兵への支援のお話でした。
 
そこで改めて考えさせられたのは、
我々は「選ぶ」という行為を、
もっと真剣に考え、責任をもって
やらなければならない、ということです。
 
***
 
コンゴは紛争が絶えない地域ですが
レアメタルや貴金属などの資源が
豊富に眠っています。
 
そして、鉱山では子どもたちが
劣悪な労働環境での違法な労働を
強いられています。
 
そして、それを助長しているのが
先進国に住む我々である――。
 
端的に言うとそういうことが
現実として起こっているのです。
 
詳しいことは、以下の記事に詳しく
載っていますのでご覧ください。
 
死者540万人以上―日本では報道されない、忘れられた世界最大の紛争(コンゴ民主共和国)
http://theplatnews.com/p=3044

 
日本のメディアは報じない、コンゴ紛争とハイテク産業の繋がり
https://www.huffingtonpost.jp/kanta-hara/540_media_b_10214318.html

 
***
 
最近は「フェアトレード」という言葉が
よく聞かれるようになりました。
 
チョコレートやコーヒーなどで
よく使われる言葉ですが、こういった
作物や製品が途上国で作られる時に、
 
搾取せずにきちんとした賃金を支払い、
児童労働などもさせずに、
継続的な取引を行なう……というのが
私の理解しているフェアトレードです。
 
でも、
「フェアトレードでさえ、実際には名ばかりだ」
という記事も見つけました。
 
「フェアトレード認証はフェアじゃない」。現代に奴隷を増やさないために立ち上がったチョコレート会社Tony’s Chocolonely
http://neutmagazine.com/GOOD-GOODS-CATALOGUE-8

 
こういった問題の難しいところは、
知らず知らずのうちに自分が加害者に
なってしまっていることだと思います。
 
ただ生活をしているだけのつもりでも、
加害者となって、地球のどこかで不幸を
生んでしまっているのです。
 
しかし、逆に考えると、こう表現する
こともできます。
 
先進国に住む人たちは、ただ生活をする
だけで、世界中を幸せにすることもできる――と。

 
そういうポテンシャルがあるのですが、
私たちの多くは(私も含め)今まで、
そんなことは全然考えることもなく
生きてきました。
 
しかし、世界がグローバル化するにつれ、
見えないところでもお互いにつながって
きているのですね。
 
***
 
私は自己啓発的な学びもいろいろとして
きたのですが、その中で印象的だったことが
1つあります。
 
それは、裕福な人たちは、裕福な人たち同士で
仕事を融通しあっている――ということです。

 
つまり、商品やサービスを購入することが、
その人に対する「応援」だということを
しっかりと意識して生きることが、
裕福に生きるための効果的な手段なのです。
 
どこのコンビニに入るか。
 
どこで本や雑誌を買うか。
 
どこでランチをするか。
 
・・・といったことを、なんとなく行なう
のではなく、しっかりと考えて選ぶことが
大切なのではないでしょうか。
 
自分はどの店/人を応援したいのだろうか?
そのように考えることが第一歩だと思います。
 
そういう視点で振り返った時に、
個人的に引っかかる大衆の行動が
いくつかあります。
 
1.スーパーで肉や野菜を買うときに
チラシを見比べて、1円でも安い店から買う
 
2.店頭で店員に情報を教えてもらうが、
購入はもっと安いインターネットでする
 
3.便利だから何でもアマゾンで買い、
翌日に届けてもらう
 
***
 
1番目は特に昭和の主婦の行動という
イメージが個人的にはありますが、
やはり「安さ」に飛びつく人は世の中に
ごまんといます。
 
別にそれがダメ、というのではなく、
その行動によって、何を選ぶ結果になって
いるのかをもっとよく考えた方がよい時期に
来ているのだと思うんです。
 
「安かろう、悪かろう」という言葉が
ありますが、安いということは、
何かが犠牲になっているのです。
 
売っている会社が、特定の商品における
利益を犠牲にすることで、他の商品で
きちんと利益をあげる・・・というのは
比較的健全な姿だと思います。
 
しかし、どこもが価格競争をしてしまって、
利益をあげることが大変になり、
きちんとした利益があげられずに疲弊して、
競争力が失われてきているのが今の日本です。
 
日本の生産性はアメリカと比べると3分の2
程度に過ぎず、先進国のG7の中では
ずっと最下位です。
 
私はそれは、価格競争から抜け出せていない
ことが大きな原因だと感じています。
 
日本の製品は、品質がすごく良いのに、
世界的に見て安すぎるんですよね。
 
***
 
2のように、お店に行って、情報を得た上で
最終的に、安いネットで買う、ということを
している人も結構いるのではないでしょうか。
 
もちろん、運ぶのが大変だからネットで…
という人もいるでしょう。
 
様々な事情があるとは思いますが、単純に
「安く買いたいから」といって、ネットで
価格を比較して、一番安いところで買う、
という人も少なくないでしょう。
 
例えば、そのようにして、ネットに客を
奪われる電気屋さんの気持ちになってみれば
違うものが見えてきます。
 
そこの店員さんが、いくら知識を提供しても、
商品を買ってもらえないのです。
 
ググるのと同じように情報だけ使われて
あとはポイと捨てられるようなものです。
 
***
 
3番のような、なんでもアマゾンで買う、
という行動は、特に書籍だと顕著な気がします。
 
(私自身が作家として本を出しているから
気になるのかもしれませんが)
 
例えば、このグラフはすごく分かりやすい
のですが、書店の数や総面積がどんどん
減っています。

(※http://www.garbagenews.com/img18/gn-20181006-08.gifより)
 
もちろん、紙の本から電子に移っているという
時代の変化もありますから、書店にとって状況が
厳しくなるのは仕方のないことです。
 
しかし、それと同時に、多くの人たちが
「便利だから」といって、アマゾンで
本を買い、書店を利用しなくなったことも
大きいのです。
 
商品を購入することを、そのお店を応援する
行為だと捉えると、多くの人が無意識に
リアル書店を応援しなくなってしまった
と言える
のです。
 
別に書店だけに限りませんが、存続が
難しいお店が世の中にはたくさんあります。
 
時代の流れだと切り捨てることもできるかも
しれませんが、「お店がつぶれる」ということは、
お客さんが応援してくれなくなったからです。
 
私だってもちろんアマゾンは使いますが、
急いでいるとか、リアル店舗だと見つけられない
ものなどに絞る努力をしています。
 
それは、他のお店のことも
きちんと応援したいからです。
 
***
 
そして、応援するという行為は、
「愛」に基づいているものだと思います。
 
あなたは一体、何に価値を置き、
何を大事にして生きたいですか?

 
お金を使うという行為は、実はあなたの
自己表現であり、愛情を示しているもの
だとも言えるのです。
 
取引先に対して値切り交渉ばかりをしている
ブラックなメーカーが好きですか?
 
裏では児童労働を助長し、世界に不幸を
増やしているお店を応援したいですか?
 
そういう裏側を知っていたら、イヤだと
思うのが自然ですよね。
 
だから問題は、そこまでを見ようとするか
どうかなのかもしれません。
 
私たち、先進国に住む人間は、我々が
想像している以上に大きな影響力を、
この世界に対して持っているのです。
 
1人ひとりの力は小さいかもしれません。
 
しかし、微力ではあっても、その力を
合わせたら、ものすごい大きな力になります。
 
そして、その力を、現在は知らないうちに、
世界の人を不幸にするかもしれない方向に
ふるってしまっているのです。
 
できたら、みんなを幸せにする方向に
持っていきたくありませんか?
 
そのためには「意識をして選ぶ」ことが
大事なんだなと、鬼丸さんの話を聞いて
改めて実感した次第です。
 


  • この記事を書いた人

    イングリッシュ・ドクター 西澤ロイ

    イングリッシュ・ドクター(英語のやさしい“お医者”さん)。
    英語が上達しない原因となっている「英語病」をなおす専門家。
    TOEIC満点(990点)、英検は4級。獨協大学英語学科を卒業。言語学を専攻。

    著書に「頑張らない英語」シリーズ(あさ出版)、新刊『英語学習のつまずき50の処方箋』(ディスカヴァー21)など、計11冊で累計17万部を突破(書籍の一覧はこちら
    日本人が「英語ができない時代」を終わらせることを目指して日々活動中。