動詞matterはなぜ「重要である」という意味になる?(Black lives matter.とは)

 

...動詞matterはなぜ「重要である」という意味になる?(Black lives matter.とは)


こんにちは、イングリッシュ・ドクターの西澤 ロイです。
 
Black lives matter. の意味がよく
分からなくて調べた、という人も
少なくないと思います。
 
そこで、lives が life の複数形である
ことは理解できても、matter のところが
よく分からない、という人も多いのでは
ないでしょうか。
 
matterを動詞で使うと「重要である」という意味になる――
と、ただ暗記してしまうのは非常にもったいない
と言えます。
 
その意味をもっと自然と理解できるように
matterについて詳しく解説します。
 

matterはまず「問題」「困ったこと」を意味する

日常英会話でよく使われる表現が
What’s the matter?
です。

これは例えば、ちょっと困っていそうな人に
対して使ったりします。
 
「どうしたの?」
「何かあった?」

などと訳されます。
 
「問題」はproblemじゃないのと
思う人もいるかもしれません。
 
matterは「事柄」とも訳されるので、
problemよりもちょっと軽い意味合いです。
 
例えば
a matter of life and death
と言えば「死活問題」と訳されますが、
別に「問題(problem)」だと言っている
わけではなく、
「“生き死に”に関わる事柄」
を表しているのです。
 

さらに「物質」「物体」も表す

matterはもうちょっと違う意味として
「物質」や「物体」も表します。
 
対比されるのがmind(心)やspirit(精神)
などといった目には見えないもの。
 
つまり、matterとは
「目に見える物体」
という感じでしょうか。
 

 

動詞では否定文で使われることが多い

そして、動詞でmatterを使うときには、
It doesn’t matter.
(それは重要ではない)

のように否定文で使ったり、
Does it matter?
(それ、重要なの?)

という風に、疑問文で使われることが
多いのです。
 
ぜひ以下のように捉えてみてください。
 
It doesn’t matter.
というのは、
「それは物質化しない」
と言っているんです。
 
そこから
「それは重要ではない」
という風に転じている、と考えてみてください。
 
(「物質化する」という意味でmatterが
使われるわけではありません。念のため)
 
例えば、、、
 
お化けが怖いと言っている子供に対して
It doesn’t matter.
(もしくは Ghosts という複数形だとすると
They don’t matter.)
と言う場面をイメージしてみてください。
 
実際には存在しないから大丈夫だよ。
大したことはないよ。
 
そんなニュアンスに捉えられるのでは
ないでしょうか。
 
だから、
matter の基本は、否定文で使って
「重要ではない」
「問題ではない」
ということを表す
のです。
 
しかし逆に、「重要なんだ」ということを
表すために、敢えて肯定文で使うことで
It matters (to me).
(toを使うことで「~にとって」を表せます)
とか
It does matter.
(does は強調でついています)
のような言い方をします。
 
Black lives matter.
もそうですね。
 
過去には、黒人の人たちが軽んじられてきた
という悲しい歴史がありますから、だからこそ
この問題を「目に見える大事な物事」として、
きちんと扱って欲しい――。
 
そういう気持ちを、私は
Black lives matter.
という英文から感じるのです。
 


  • この記事を書いた人

    イングリッシュ・ドクター 西澤ロイ

    イングリッシュ・ドクター(英語のやさしい“お医者”さん)。
    英語が上達しない原因となっている「英語病」をなおす専門家。
    TOEIC満点(990点)、英検は4級。獨協大学英語学科を卒業。言語学を専攻。

    著書に「頑張らない英語」シリーズ(あさ出版)、新刊『英語学習のつまずき50の処方箋』(ディスカヴァー21)など、計11冊で累計17万部を突破(書籍の一覧はこちら
    日本人が「英語ができない時代」を終わらせることを目指して日々活動中。