bad(副詞)がなぜ「とても」という意味で使われるのか?

 

...bad(副詞)がなぜ「とても」という意味で使われるのか?


Gleeに出てきたBillionaireという曲

こんにちは、西澤 ロイです。

先日、Gleeのセカンドシーズン、第2話を見ていて、すごく気になる曲がありました。

こちらのシーンです。

トラヴィー・マッコイ(Travie McCoy)による「ビリオネア(Billionaire)」という曲ですね。

この冒頭のフレーズが、

I wanna be a billionaire so freakin’ bad.

なんです。

この so freakin’ bad の辺りがよく分からないという方が結構多いのではないでしょうか。

これはかなり口語的な、くだけた言葉遣いです。

よく分からないまま真似をすることはあまり良くないですから、根本的なところから解説したいと思います。

このbadは一体何なのか?

まず、以下の英文を見てみてください。
意味が分かりますでしょうか?

I need it badly.

このbadlyは副詞で、強調する意味合いを持っています。

日本語に訳すなら

私はそれが「ひどく」欲しい。

という感じでしょうか。日本語でも「ひどい」という“良くない”言葉を使えるところは、言語を超えた共通の感覚です。

さて、それが口語では、

I need it bad.

のように使われるのです。

もちろん、厳密に言えば「間違い」だと考える人もいます。

bad は形容詞であり、副詞として使うのなら badly にしなければ……ということですね。

エルヴィス・プレスリーが広めた用法

でも、このような言葉の使い方を広めたと言われるのが実はエルヴィス・プレスリーなんです。

「Love Me Tender」という名曲によって……。

この曲の歌詞は

Love me tender.
Love me sweet.

で始まります。

しかし、本来はtenderもsweetも形容詞ですから、tenderly、sweetlyにしなければいけないはずなのです。

日本語でも本来、「すごく早い」と言わなければならないところを「すごい早い」と言う人が増えていますよね。

言葉は生き物であり、常に変化しています。

そして、何が誤りかを決めることは非常に難しいんです。

so freakin’ badとは?

さて、話を戻しましょう。

I wanna be a billionaire so freakin’ bad.

ここで so freakin’ bad になっていますが、一体どんな意味なのかについてお話しましょう。

I wanna be a billionaire so bad.

このように言えば、bad(ly)をsoが強調することになります。

そして、英語の口語では、fucking という単語が使われます。
(なお、非常に汚い言葉だとされますので、口に出さない方がいいですよ。以下、伏せてfxxkingにします)

なぜそのような汚い言葉を使うかというと、1つは意味を強調するためです。
汚い言葉を敢えて使うということは、そこに感情がこもりますから。

so fxxking badのように言うことで、ただbadと言うのに比べると、かなり強調する気持ちが込められるのです。

また、そのような言葉を使うことで、仲間意識を持てるんですよね。

ただし、fxxkingはかなり汚い言葉ですから、そこを和らげるために、言い換えが行なわれます。
それがここで使われているfreakingなんです。

似たような事例はたくさんあります。
あまり汚い言葉を列挙するのもどうかと思いますので、例は1つだけにしておきましょう^^
Shit!(くそっ!) ⇒ Shoot!

まとめ

ということで、

I wanna be a billionaire so freakin’ bad.

という英文は、本来は

I wanna be a billionaire (so) (fxxking) bad(ly).

であり、超訳をつけるなら

「俺は億万長者に超なりたくてしかたねーんだ!」

という感じでしょうか。


  • この記事を書いた人

    イングリッシュ・ドクター 西澤ロイ

    イングリッシュ・ドクター(英語のやさしい“お医者”さん)。
    英語が上達しない原因となっている「英語病」をなおす専門家。
    TOEIC満点(990点)、英検は4級。獨協大学英語学科を卒業。言語学を専攻。

    著書に「頑張らない英語」シリーズ(あさ出版)、新刊『英語学習のつまずき50の処方箋』(ディスカヴァー21)など、計11冊で累計17万部を突破(書籍の一覧はこちら
    日本人が「英語ができない時代」を終わらせることを目指して日々活動中。