こんにちは、西澤 ロイです。
世の中にはいろんな形での支援活動があると思いますが、
私が一番力を入れているのは、カンボジアの教育支援です。
なぜ「カンボジア」なのか、それもなぜ「教育」なのか、
についてちょっとお話させてください。
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カンボジアでは、1975~79年の4年間、
ポル・ポト政権の支配下にありました。
「ポル・ポト」の名前は知っている方が多いでしょうが、
そこで何が行なわれたかまでを具体的に知る人はあまり多くありません。
ポルポト政権下では、思想改造の名の元に、
大虐殺が行なわれました。
原始時代のような、みんなで農業だけをやっている
状態が理想とされたためです。
当時700~800万人だった人口のうち、
100~200万人以上(正確には分かりません)が
4年間のうちに亡くなっています。
その中でも、知識人(教師、医者、文字が読める人)が
大量に殺されたのです。
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ポル・ポトが失脚した後、教師をできる
ような人材はもう残っていませんでした。
でも、学校には教師が必要です。
そこで駆り出されたのは、かろうじて文字が読める人たち。
教育の「き」の字も知らないような人たちを
教師に据えるしかなかったのです。
結果として、今もカンボジアで行なわれている教育は、
教科書を読み、それを丸暗記するというもの。
生徒は、先生に恥をかかせないために、
質問することも許されません。
先生も、内容を理解せずに教えています。
もちろん「学ぶ喜び」を先生自身が知らないまま――。
世界にはいろんな支援団体がありますから、
校舎を建てたり、理科の実験道具なども寄付してくれます。
しかし、先生がいないのです。
実験道具を使うどころか、それがなんだかさえも
分からない先生ばかりなのです。
想像してみてください。
全ての科目で、教科書をただ読んで丸暗記するだけの授業ですよ。
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カンボジアの現実を知り、私は衝撃を受けました。
「教育は国家百年の計」と言われますし、
日本の教育について、良し悪しが語られることは多々
ありますが、なんて幸せなんだろうと思ったんです。
そもそもそんなレベルにない「単なる暗記」が、
カンボジアでは教育として行なわれてしまっているのです。
そして、CIESF(シーセフ)という団体が
「国境なき教師団」という支援活動をやっていることを
知りました。
彼らは、カンボジアにおいて、教員養成校の
カンボジア人教官に対する教育を行なっています。
それが最終的に、カンボジア人の自立を応援する
形の支援になるということですね。
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日本では伝統的に、英語を教える上で「暗記教育」が
行なわれてきました。
私はそれが問題だと思い、
「英語は暗記科目ではなく納得科目」
だとお伝えしています。
それが、カンボジアでの教育にすごくリンクするのです。
暗記教育では、人は伸びないのですから。
ですから、日本人の英語教育だけでなく、カンボジアなどの
途上国においても、暗記教育から脱却するお手伝いが
少しでもできたら……と思うようになりました。
それが、私がカンボジアの教育支援を行なっている理由です。