こんにちは、イングリッシュ・ドクターの西澤 ロイです。
こういうメールをいただきました。
先日、昔会ったネイティブの人と再会したのですが、
その際に相手は、私が以前プレゼントしたものについて
握手を求めながらお礼を言ってくれたんです。
しかし私はと言えば、とっさに言葉が出ず、笑顔で
握手を返すのが精一杯でした。。。
少し時間が経ってから、あの時、
I’m so glad you remember that.
(覚えていてくれてとても嬉しいです)
とか
It’s great to see you again.
(またお会いできて良かった)
などと言えればよかったのに・・・と
頭の中をぐるぐるしてしまいます。
いや、別にそんな気の利いたセリフでなくても
It’s my pleasure.
(どういたしまして)
とか
How have you been?
(元気でしたか?)
のような決まり文句だって、なんだって
いいんです。
何も言うことのできなかった自分に
正直ガッカリしています。
高額な費用をかけて英会話スクールに
何年も通っていて、それなりに上達したと
思っていたのに、挨拶一つ返せないなんて・・・
こういう方は、結構いらっしゃるのでは
ないでしょうか。
実は、昔の私自身がそうでした。
そもそも、中高の6年間、頑張って英語を
学んできた結果、ネイティブに
Do you like swimming?
(水泳は好きですか?)
という超簡単な質問をされたのに、
何も答えられませんでした。
この時は、本当にひどい自己嫌悪に
陥りました。
まあそれが悔しさとなり、上達するための
モチベーションとなったのも事実ですが。
***
さて、私はその後、言語学を学び、
1年間アメリカに留学し、英語での
コミュニケーションでは不自由しない
ようになりました。
しかし、とっさの一言が言えないことは
実は何度もありました。
今でも思い出すのが、本を何冊か出すように
なった後の出来事です。
とあるパーティーに参加した時に、
何人か外国人の方も来ていました。
自己紹介をしたときに、英語学習に関する本を
書いています、ということを伝えたのですが、
そこでこういう質問が返ってきました。
What’s the secret?
(秘訣は何ですか?)
えっ・・・?
What’s the secret…?
お恥ずかしい話ですが、私はとっさに
何も言えませんでした。
もしかしたら、相手のネイティブは、
私のことを「英語の話せない日本人」だと
思ったかもしれませんね。
でもこの時、私は自分のことを否定したり、
自己嫌悪に陥ったりすることは、
全くありませんでした。
なぜなら、日本語であっても、
準備をしていないことは、とっさには
話せないからです。
例えば、日本語でのお話ですが、
会社勤めをしている人が、
いきなり社長から話しかけられて
うまく返事ができない・・・。
予期せぬ質問をされ、
しどろもどろになってしまう・・・。
これはほんの例ですが、そういうことは
日本語でいくらでもあるはずです。
でもここで、
「私は日本語ができない」
とは思わないはずです。
でも英語になると
「私は英語力が足りないのだ」
と、なぜか自己否定が始まるのです。
これって、非常に不健全だと思います。
単に、準備や練習がもっと必要な
だけなんですよ。
きちんと練習をしたことであれば、
できるようになるんです。
ですから、能力不足などといった
幻想を作り出して、自分を責めるのは
やめましょう。
P.S.
ちなみに、What’s the secret? と聞かれて
私は何も答えられなかったわけですが、
その後、不思議な感情にとらわれました。
どれだけ英語その他を勉強したところで、
本が売れるようになったところで、
ひとつ歯車がうまく回らないだけで、
何もしゃべれなくなってしまう――。
そんな不器用な自分の本質は何も変わらない
のだなと、むしろ自分がいとおしく思えました^^