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こんにちは、イングリッシュ・ドクターの西澤 ロイです。
Q.can と be able to はどう違いますか?
非常に解説が難しいお話ではあるのですが、
頑張って答えてみますね。
■ canとbe able toの違い<基本編>
学校では、can = be able toで「できる」だと習いますが、全く同じ意味の表現は2つと存在しません。表現が違うということは、意味が違うのです。
では、どのように意味が違うのでしょうか?
そもそも、この2つは「並列」に並べられるものではありません。
なぜなら、canの方が楽だからです。「I can swim.」だったらわずか3単語で済むのが、「I’m able to swim.」だともう少し長くなってしまいます。つまり、一番楽で、一番便利に表現できるのがcanなのです。
日本語で「泳げる、泳げない」と言った時に、以下のようにいろんな解釈ができるはずです。
・カナヅチでないかどうか(≒能力)
・ケガや疲れがないかどうか(≒体調)
・水が冷たすぎないかどうか、クラゲがいないかどうか(≒状況)
・怖くないかどうか(≒心理)
これらを全て含む形で、簡単に表現できるのがcanだとお考えください。ですから、
I can’t swim.
という発言があった時には、
「(カナヅチで能力的に)泳げない」
「(ケガをしているから体調的に)泳げない」
「(水が冷たすぎるなど状況的に)泳げない」
「(水が怖いなど心理的に)泳げない」
といった様々な可能性がありうるのです
それに対して、be able to は「能力」を表すabilityの形容詞形ableを含んでいます。ですから、多くの場合、能力などの話になりやすいと言えます(ケガなどの体調は、一時的に能力が奪われている、ということでableの範疇だとお考えください)。
ですから、
I’m not able to swim.
と発言したとすると、おそらく
「(カナヅチで)泳げない」
「(ケガをしているから)泳げない」
などと判断されるでしょう。
I can’t swim.ではなく、I’m not able to swim.という言い方を敢えてしていることになるから、能力の話であることを強調するようなニュアンスになりやすいのです。
以上が基本的な考え方だと言えます。その上で、他にも様々な要素があります。
■ canとbe able toの違い<応用編>
・canは2つの意味を持つ
canのような1語の助動詞は「二面性」を持っています。「できる」という意味だけでなく、「かもしれない」という意味も表すのです。
なぜこのような2つの意味合いを持つかと言いますと、canが元々「(潜在的な)可能性」を表す言葉だからです。
I can swim.(私は泳ぐことができる)
という英文であれば、「私には泳ぐ可能性がある」、つまり「泳げる」という意味になります。
また、
It can be true.(それは本当かもしれない)
という英文であれば、「それが本当である可能性がある」ことを表します。だから「本当かもしれない」と訳されるのです。
逆に否定文で
It can’t be true.(それが本当のはずがない)
にすると、「それが本当である可能性がない」ことから「本当のはずがない」と訳されます。
これは、canが広い意味合いを持つからなせることであり、ableを使うと基本的に「能力」の話になります。be able toは「(能力的に)できる」という意味であり、否定にすると「(能力的に)できない」ことを表します。
・助動詞が連続するときはbe able toで代用
1語の助動詞は、can以外のものも(例えばmay、should、must)全て二面性を持っています。そのような助動詞は、連続して使うことができません。
例えば「私はできるかもしれない」と言いたければ、「できる」はcan、「かもしれない」はmayですが、
× I may can…
とは言えず
○ I may be able to…
のように、canではなくbe able toを使うことになります。
・過去形(肯定)ではbe able toが活躍する
「私は彼に会うことができました」と言いたい場合に、日本人は「できた」だから can の過去形 could を使って
I could meet him.
のように言ってしまいがちです。
しかし、could は仮定法になりやすく、「会えた」という意味には多くの場合なりません。
canは「可能性がある」ことであり、couldは「可能性があった」ことを表してしまうため、
I could meet him.
は「彼に会う可能性があった」(つまり、可能性があっただけで、結果としては会わなかった)という意味になりやすいのです。
ですから、「彼に会うことができた」と言いたければ be able to を敢えて使うことで
I was able to meet him.
のように言えます(もしくは過去形で I met him. と言うこともできます)。
なお、これは肯定文の場合であり、否定文(できなかった)という場合には、could not(可能性がなかった)を使えば誤解は生じませんので、わざわざbe able toを使うこともありません。
I couldn’t meet him.
で十分なのです。