話の持って行き方や言葉の選び方など、広告のプロの書く文章を味わってみてください。
タイトルはオズの魔法使い(The Wizard of Oz)をもじっていますが、
題名からおわかりの通り、広告(Advertising)に関する本です。
この本は1998年に全米最優秀ビジネス書になった、とても有名なものです。
中身はロイ・ウィリアムズさんが顧客に宛てて書いた、100の短いエッセイです。
出版者の人は以下の推薦文を寄せていますが、確かにその通りだと読んで思いました。
they contain timeless truths that reach beyond advertising and good business.
They reveal the simple, profound principles that work in life…
(広告やビジネスといった枠組みを越えた、いつの時代も通用する真実が書かれている。
単純だが奥の深い、人生における法則を明らかにしている。)
約200ページの本なので、1つのエッセイは1~3ページであり、とても簡潔にまとまっています。
内容は三部構成になっています。
第一部は Turning Words into Magic(言葉を魔法に変える)というタイトルで、
広告について大切なことがたくさん書かれています。
第二部は Turning Strangers into Customers(人を顧客に変える)、
第三部は Turning Dreams into Realities(夢を現実に変える)という題名で、
セールスやビジネス、経営、成功者、心構えなどなど、様々なことについて書かれています。
エッセイはそれぞれ短いですが、内容が深いですので、全体を通して、とても考えさせられる本です。
広告に限らず、ビジネス書という意味でも、多くの人に読んでいただきたい内容の本です。
広告に関しても、エッセイのひとつに Reaching the Right People(正しい人たちに届ける)
というのがあります。
その中でロイ・ウィリアムズさんは
It’s not who you reach, it’s what you say.
(重要なのは届ける人ではなく、言う内容なんだ)
と主張しています。
最近日本で出ているマーケティングの本では、
・正しい顧客を相手にすればビジネスはうまく行く
といった主張がされていまるのをよく目にしますが、この本は
それよりも広告の内容の方がずっと重要だと主張しています。
どちらの主張が正しいかは、是非あなたの目で確かめてみて下さい。
英語に関しては、ちょっとわかりづらいだとか、何度か読み返してみて
ようやく意味がわかるような箇所も少しあり、ややレベルが高いかもしれません。
しかし、100の短いエッセイという形を取っていますので、
わからないところは諦めてしまうこともできますので、読み進めやすい本だと思います。
筆者のロイ・ウィリアムズさんは広告のプロフェッショナルなだけあって、
表現が的確だし、比喩なども上手です。
ところどころで言葉の使い方に感心してしまいました。
例えば第1のエッセイでは
・ruffling a few feathers(毛を逆立てる→「人を怒らせる」というイディオム)
・plucking the chicken(鶏の毛をむしる)
・chicken dinner(鳥のディナー)
といった表現が対比されていて、うまいなぁと感じます。
これはほんの一例で、話の持って行き方だとか、言葉の選び方とか、
興味を持った方は是非、広告のプロの書く文章を味わってみてください。
なお、アマゾンでのカスタマーレビューが低いのは、
日本語版「広告の天才たちが気づいている51の法則」に対する
レビューになっているためです。
日本語版の方はちょっと読んでいないのですが、101が半分の51に
減ってしまっているようですし、翻訳があまり良くないという声が
出ているみたいですね。
英語が含蓄に富んだものですので、訳すのはかなり難しいと思います。