野田クレーンさんのインタビュー@マイアミ

 

...野田クレーンさんのインタビュー@マイアミ


マイアミのハイアット・リージェンシーにて2014年12月4日~5日にABC(Accelerated Bridge Construction)、つまり、橋梁建設の時間短縮に関するカンファレンスが行なわれました。

そちらで、約15分間のプレゼン(もちろん英語で)をされ、笑いもしっかりと取って大成功をおさめられた野田クレーン(本社:岐阜)の野田重秀さんにインタビューを敢行しました。

National ABC Conference 2014

――素晴らしいプレゼンでした。英語でのプレゼンが無事に終わってのお気持ちやご感想を教えて下さい。

自分が心配していたよりは英語がスラスラと言えました。また、英語を言いながらも楽しめたところが大きかったです。
最初は非常に緊張し、冒頭の「Good afternoon.」をカッコよく決めようと思っていたのに噛んでしまい、そこで頭の中が「えーっ!」となってしまいました。
でも、ロイさんが用意してくれた台本の「つかみ」のところできちんと笑いが取れたことで「あ、伝わっている。イケる!」と思えたんです。そこで「15分間楽しもう」と切り替えることができて、それがよかったと思います。

――そもそもアメリカで論文を提出し、カンファレンスで発表をしようと思われたのはなぜですか?

我々は電動桁横取り装置(マイティービートル)という特許製品を持っており、日本国内だけでなく、韓国でも現地の会社と協力して橋梁工事を行なっています。
そして今回、その韓国の会社の社長がABCのカンファレンスで事例発表をさせてほしいと言い出しました。また「野田クレーンさんも同じ技術の発表は困るが、そのほかの技術で発表したらどうか」と提案がありました。

自分達の技術を、クレジットを入れてもらうにせよ、よその国(韓国)にだけ発表されてしまっていいのだろうか? また韓国側の工法は、日本ではすでに20年以上経過している技術です。ですから、それ以上の技術を発表しようと決めました。

対抗意識もあるかもしれません。大変だからやめておこうかと思ったこともありますが、危機感や使命感も感じていたのでチャレンジすることにしました。ロイさんという存在を知っていたので、相談したら何とかなるのかなという思いも正直ありました(笑)
初めは軽い気持ちでしたが、実際にやってみたらとても大変だと後から気づきました。

――どの辺が大変でしたか?

論文の提出に関しては、訳してもらうだけなので特に問題はありませんでした。
そして英語でのプレゼンに関しても、論文があるからイケるだろうと思っていました。論文を少しアレンジして書き直して、それを英語に訳してもらい、それを読めば何とかなるだろうと。しかし「英語を読むことすらできないんだ」と気づいた時に愕然としました(笑)

渋谷のカフェで、ロイさんが用意してくれた台本を、声を出して読んだ時に、たくさん直されましたよね。machinery(マシーナリー)とかallow(アラウ)、whole(ホール)、conventional(コンベンショナル)など、ちゃんと読めない単語がたくさんありました。secure(セキュア)なんて直前までずっと、なかなか正しく言えませんでした。
英語の文法がちゃんとできていないから、意味も分からずに読んでしまう。また、パッと見でproblem(プロブレム)をprogram(プログラム)、with(ウィズ)をwhich(フィッチ)と読んでしまったり――。
だからこれは台本を読むだけでなく、英語を一つひとつ勉強しなければと思い、高校生の時以上に頑張りました。

――どのような勉強をしたか教えて下さい。

まず、ロイさんの『頑張らない英文法』を読みました。それまで英語は暗記だと思っていて、そうすると暗記しないと次のページに進めないという意識がありました。受験勉強をした時にも、教科書、文法書、単語帳などは多分1/3ずつくらいしか読んでいないと思います。1/3に差しかかるともう自分のキャパを超えてしまって…
実は僕の中で、英語の本を最初から最後まできちんと読み込んだのは、『頑張らない英文法』が初めてなんです。

読んでいくうちに、英語に対して持っていた疑問が解決していきました。今まで疑問に思っていたことがストレートに書いてあって、「あぁ、そういうことなんだ」と。
それまで僕の中で、aをつけるか、複数形のsをつけるかは大した問題じゃない、という意識でした。前置詞はgoならto、lookならatのように決められている思っていました。

だから「英語の考え方」がちゃんとあるというのが分かったことが良かったです。「考えればいいんだったら暗記しなくて済む」というのが嬉しかったですね。
そういう風にやればいいならできそうだなと思って、Just In Case(英会話教材)に進み、テキストを何度も何度もやりました。

――そして、プレゼンの追い込み練習へ…

野田クレーンのプレゼン@マイアミ
そうですね。台本を見て、何が書いてあるか目では見えているが、発音ができないということに驚きました。だから「これは真剣にやらないといけないな」と思い、最後の2週間は、ロイさんが吹き込んでくれたプレゼン台本の音声を毎日聴きました。
新幹線での移動中には聴きっぱなし。そうやって何度も聴いたので、プレゼンの練習している時に、ロイさんの声が後ろから聞こえるくらいでした。

それでも、マイアミ入りして、ホテルで練習すると、まだまだロイさんチェックが入りましたね。自分の中でさらりと言えたと思ったことにチェックが入ったり。
気をつけて言っているつもりだったのに、まだまだ分かっていないことがあって、たくさん指摘してもらえて助かりました。

――以前と今を比較して英語力はどのように変わったと思いますか?

1つ1つの発音が前よりもできるようになったことは大きいと思います。日本人的にはどちらも同じに聞こえるかもしれませんが、違うんだなと。
単語で区切って読んでいるし、ネイティブみたいには発音できませんが、笑いを取れたことで「伝わった」というのが感じられて嬉しかったし、「進歩」を感じられました。
結構練習しましたからね。

――今後、英語力をどうしていきたいですか?

野田クレーン:野田重秀さん
英語力はまだまだで、100のうちの5くらいしかないんだけど、0と1とでは全然違うと思います。0はどれだけ経っても0なんだけど、1になった瞬間に2にも3にもなり、4にもなっていくと思うんで、よかったのかなと本当に思います。

今回たまたま英語をやりだしたわけですが、そうしたら周りに英語が氾濫し出したんです。マニュアルが来たら、英語版しかなかったり。
今までは「英語だからいいや」と投げていたんですが、「丁度いま勉強しているから読んでみようかな」と思えるようになりました。これも巡り合わせなのかなと思います。

まずはせっかく学んできたJust In Caseを最後までやり通そうと思います。普段使っていないと忘れてしまうから、「これ、英語だったらどう言うんだろう?」などと考えながら、やり続けて行きたいです。
韓国で仕事をする時にも、英語でしゃべり続けて行けば、英語力がもっとついていくと思います。

また機会があればぜひカンファレンス発表に挑戦したいですね。3年以内くらいに、発表できる内容が揃った時…ですね。
アメリカの雰囲気も分かりましたし、今回は(アメリカの状況を全く知らないために)ちょっと的外れな部分もあったと思うので。
次回は、内容でもアメリカ人にウケるようにしたいと思います(笑)

――では最後に、西澤ロイへ一言お願いします。

今回は本当にありがとうございました。出張自体は10日間だけど、実際は半年間くらいのスパンで協力していただきました。
実はロイさんが肩を叩いてくれたんですよね。「やりましょう」って。

――え? そうでしたっけ?

アメリカへの連絡がうまくついていなくて、論文の受付がされていないかもしれなかった時に、このまま「なし」にしてしまおうかとも思いました。でもそこでロイさんが「せっかくだから行きましょうよ!」って言ってくれて、「これはやるしかないな」と思ったんです。

論文のアブストラクト(抜粋)の翻訳に始まり、英語での論文の提出、そして、英語でのプレゼン。11月にロイさんが風邪で倒れた時には「やばいじゃないか」とも思いましたが、なんとかなりました。本当に感謝しています。

――こちらこそ、どうもありがとうございました! 野田さんは星(西洋占星術)でいうと海外のところに仕事の星がありますので、ぜひ今後も英語を使ってバリバリとやっていって下さい!


  • この記事を書いた人

    イングリッシュ・ドクター 西澤ロイ

    イングリッシュ・ドクター(英語のやさしい“お医者”さん)。
    英語が上達しない原因となっている「英語病」をなおす専門家。
    TOEIC満点(990点)、英検は4級。獨協大学英語学科を卒業。言語学を専攻。

    著書に「頑張らない英語」シリーズ(あさ出版)、新刊『英語学習のつまずき50の処方箋』(ディスカヴァー21)など、計11冊で累計17万部を突破(書籍の一覧はこちら
    日本人が「英語ができない時代」を終わらせることを目指して日々活動中。