ステキな英語本を見つけました。
どのくらい「ステキ」かというと、この著者さんを
私のラジオ番組にぜひお呼びして
インタビューさせていただきたいくらい――。
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世の中には、英語に関する情報があふれていますが、
個人的にあまり良い印象を持っていないのが
「ネガティブメッセージ」
です。
例えば、
○○とは言わない、不自然、失礼になる、
相手を怒らせる、誤解される、印象を悪くする……etc。
具体的な表現でいうと
・What time is it now? とはネイティブは言わない
・How are you? I’m fine, thank you. は不自然
・My name is ~. は古い
・a をつけ忘れて Call me taxi. にすると
「私をタクシーさんと呼んで」になってしまう
みたいな話です。
もはや「都市伝説」の域に達してますよ。
How are you? とか You’re welcome. がダメだなんて。
こういうネガティブメッセージが、
書籍のタイトルになったり、
広告のキャッチコピーになったりしているのを
見るたびに、私は嫌な気分になります。
なぜなら特に英語の初心者の人たちが
「あれはダメ」「これは言わない」
などと萎縮してしまい、余計に話せなくなるからです。
(ある程度の自信をもって、ちゃんと英語を
話せる方がレベルアップのために使うのであれば
こういう情報もよいのですが…)
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そんな私がつい先日、書店で見かけ、
「まさに我が意を得たり!」
と思い、思わず買ってしまったのがこの本です。
カン・アンドリュー・ハシモト著
『本当はちゃんと通じてる! 日本人エイゴ』(アルク)
カン氏は、72人の英語ネイティブ(母語話者)に
ヒアリングをしました。
都市伝説が本当なのかどうか、
「これはOK?通じる?」などと確認した結果を
まとめてくれています。
結論から言うと、この本が伝えているのは
「通じるから大丈夫。心配しすぎるな!」
という力強いメッセージ。
ですから、ぜひ多くの英語学習者の方に
読んでいただきたい本です。
特に、味わっていただきたいところは、
英語ネイティブによる以下のような「反応」です。
「え、何が問題?」
“Be a little bit flexible, man. Come on!”
(もっと臨機応変に考えなよ、おい、頼むよ!)
「a があるとかない、ということよりも、
これ、please をつけた方がいいんじゃない?」
この本をしっかりと読んで味わっていただくと、
日本人がどれほどムダなことに心血を注ぎ、
重箱の隅をつついているかに気づけるかもしれません。
日本人はどうしても「文法的な正しさ」に
こだわってしまいがちです。
しかし、そこで見落とされてしまいがちな
「コミュニケーションにおける正しさ」。
それは、伝えようとする気持ちであり、
コミュニケーションを楽しむ心ではないでしょうか。
もし通じなかったら、別の言い方をすれば
いいだけです。
もし笑われたのならば、それをジョークで返したり、
または、後日に笑い話として活用すればいいんです。
本書は
「英語を使うってこういうことだよね」
という本質がにじみ出ている本であり、
「正しさ」や「間違い」がつい気になってしまう
日本人全員にぜひ読んでほしい本です。
カン・アンドリュー・ハシモト著
『本当はちゃんと通じてる! 日本人エイゴ』(アルク)