こんにちは、イングリッシュ・ドクターの西澤 ロイです。
昨日は、新宿の紀伊國屋書店さんでの
トークイベントに参加してきました。
ラジオ仲間でもある松田雄馬さんが
「人工知能はなぜ椅子に座れないのか」
という本を上梓されました。
松田さんは「数理生物学」の専門家。
・・・って言われてもよく分からないかも
しれませんが、
大脳視覚情報処理、つまり、目に関することで
脳について研究している専門家です。
AI(人工知能)については、例えば
「仕事が奪われる」
みたいな話がよくありますよね。
人間 VS コンピュータ
みたいな図式が描かれることも
ありますよね。
でもそれは、我々人類がAIのことを
過大評価しているからかもしれません。
松田さんはご著書の中で、
「生命」を入り口にして、
我々人間がどのように世界を見ているのか
について語ってくれます。
それはつまり、複雑で、ダイナミックで、
人間がまだまだ解き明かすことのできない
命の営みについて解説してくれます。
人間が理解できていないものを、
なぜ機械化できるのでしょうか?
そういう根源的な問いを、
松田さんの本は示してくれます。
AIが理解できるのは「記号」。
しかし、我々人間は「意味」を
常にやり取りしているのです。
タイトルに含まれる
「椅子に座る」
という行為1つ取ってもそうです。
例えば、登山している人が
ちょっと疲れたから、
ちょうどよい石の上に腰を下ろす。
石を見て、それを「石」だと
認識することは、たくさんのデータが
あればきっとAIにもできるでしょう。
しかしそれを、自分の足の疲れを癒して
くれる「椅子」だと認識することは
全く「世界」が違うお話なのです。
そんな深い話を読ませて&聞かせて
いただきました。
松田さん、ありがとうございました。
P.S.
比較的読みやすい文体だとは思いますが
300ページ近くあるのと、文字が詰まって
いるので、読書が苦手な方にはちょびっと
ハードルが高めかもしれませんが、
好奇心をいろいろと刺激される本です。
「人工知能はなぜ椅子に座れないのか」
P.S.2
トークイベントの直前に、紀伊國屋さんで
たまたま見つけた本がこちら。
『目の見えない人は世界をどう見ているのか』
こちらについても書評というか記事を書きました。