アップセット(upset)の意味がなぜ「番狂わせ」になるのか?

 

...アップセット(upset)の意味がなぜ「番狂わせ」になるのか?


こんにちは、イングリッシュドクターの西澤ロイです。
 
サッカー男子ワールドカップ(FIFA World Cup)の
カタール大会(2022年開催)において、
「アップセット」というカタカナの言葉を
メディアで頻繁に目や耳にするようになりました。
 
この大会で「アップセット」だと言われた試合は
グループステージだと
・サウジアラビア vs アルゼンチン(2-1)
・日本 vs ドイツ(2-1)
・日本 vs スペイン(2-1)

などがあります。
 
この「アップセット」という言葉の意味や
その語源などについて解説します。
 
(※なお、実際の発音としては「アプセット」のほうが
近いですが、ここでは「アップセット」と表記します)
 

「アップセット(upset)」が持つ意味合い

upsetという単語は、動詞、形容詞、名詞などとして
使われます。
 
upsetを辞書で調べると、以下のような様々な
意味が出てきます。
 
・ひっくり返す/転覆
・くつがえす/番狂わせ
・狼狽(させる)/気が動転した
・お腹をこわす/(胃が)むかむかした/胃の不調
・心配させる/嬉しくない

 

「アップセット(up)」の語源とは?

上記のような様々な意味合いがありますが、
これらを1つ1つ暗記することは全くオススメ
できません。
 
その奥にある、共通したイメージ(英語感覚)を
掴むことが大切です。
 
upsetの語源ですが、実は
「up(上)+set(セットする)」
というところから来ているわけでは
ありません。
 
ですので「上に置くから……○○なのだ……」などと
無理にこじつけるのは良くありません。
 
実は昔、oversetという単語があり、
もう廃れて使われなくなってしまいました。
 
その単語の意味を、upsetが引き継いで
いるのです。
 

実はoversetから来ている

oversetという単語はover+setからなります。
 
overという単語のイメージは、
「覆うような動き」が基本です。
 

 
この矢印をよく見ていただきたいのですが、
以下のように「ひっくり返す」ことにつながります。
 

 
ですから、oversetは「逆さにセットする」
ことから「ひっくり返す」ことを意味しました。
 
しかし、このoversetという単語は廃れてしまい、
その意味合いをupsetが引き継いだのです。
 

アップセット(upset)が「番狂わせ」という意味になる理由

これで、アップセット(upset)が「ひっくり返す」
という意味になった理由がお分かりいただけたと
思います。
 
ここで、「スポーツにおける強敵」を
「大きな船」だとイメージしてみてください。
 

 
いや別に、「船」でなくてもいいかもしれません。
 

 
それを「ひっくり返す」ことは、
「強敵をやっつける」というイメージに
つながりますよね。
 
だから「アップセット(upset)」
は「番狂わせ」という意味合いを持つのです。
 


  • この記事を書いた人

    イングリッシュ・ドクター 西澤ロイ

    イングリッシュ・ドクター(英語のやさしい“お医者”さん)。
    英語が上達しない原因となっている「英語病」をなおす専門家。
    TOEIC満点(990点)、英検は4級。獨協大学英語学科を卒業。言語学を専攻。

    著書に「頑張らない英語」シリーズ(あさ出版)、新刊『英語学習のつまずき50の処方箋』(ディスカヴァー21)など、計11冊で累計17万部を突破(書籍の一覧はこちら
    日本人が「英語ができない時代」を終わらせることを目指して日々活動中。