「着る」は「put on」だけじゃない

 

...「着る」は「put on」だけじゃない


「身に付ける」「着る」という動作は英語では通常 put on で表現しますよね。
(wear もありますが、どちらかと言えば「着ている状態」を表わします)

でも実は、put の代わりに pull や slip などを使って、
pull on や slip on のようにも表現できます。

<pull on>

pull という動詞を使った場合には「引っ張る」という動作が前に出てきます。ちょっと苦労するような感じもあるかもしれません。

では “pulled on” と boots をキーワードにしてGoogleで検索してみましょう。

検索結果の中から使えそうな用例をいくつか引用します。

“When I first pulled on these boots, I was concerned that they fit too closely, mimicking too perfectly the shape of my feet.”
(このブーツを最初に履いたとき、まるでブーツが私の足の形の真似をしてるみたいで、きつすぎないか心配だった。)

“He pulled on trousers and his boots, and he was gone.”
(彼はズボンとブーツを履いて行ってしまった。)

この他にも、boots ではないものもいろいろと表示されました。

例えば sneakers や jeans なども使われていますね。

“Karen quickly pulled on her sneakers…”
(カレンは急いでスニーカーを履いた)

“…she pulled on her jeans…”
(彼女はジーンズを履いて・・・)

また、コート(coat)やセーター(sweater)なども
pull on と一緒に良く使うようです。

是非、検索してみて下さい。

<slip on>

では次に、slip on ですね。

slip という動詞を使った場合には「滑る」感じから
「容易に、スッと、素早く」身に付けるような含みがあります。

例えば “slipped on” と shirt をキーワードにしてGoogle検索してみましょう。

“He slipped on a shirt and walked out of the room.”
(彼はシャツを着て部屋から出ていった。)

“I had finished my bath and slipped on my favorite old t-shirt.”
(私は風呂から出て、お気に入りのTシャツを着た。)

“He had slipped on a pair of blue pajama bottoms and a T-shirt that said ‘I see Dumb People’.”
(彼は青いパジャマズボンと「僕には馬鹿が見える」と書かれたTシャツを着ていた。)

その他にも、いろいろと検索していると
gloves、sandals、pants、sweat suit
などいろいろなものが出てきました。

“”I’m going now”, she said as she slipped on her gloves…”
(「もう行くわ」と彼女は言いながら、手袋をした。)

“I slipped on a pair of sandals…”
(私はサンダルを履き・・・)

“Next he slipped on the corduroy pants, and buttoned up the fly…”
(次に彼は、コーデュロイのパンツを履き、ジッパーを上げた。)

“…sat against a locker and quietly slipped on a sweat suit.”
(ロッカーに向かって座り、静かにスエットスーツを身につけた。)

<補足>

訳語がどうしても気になってしまう人達のために書きますと、
put on だろうと pull on、slip on だろうと
特に日本語として区別する必要はありません。

ただ、「身に付ける」ときに
どのような動作で行っているのかをイメージして下さい。

そのイメージこそがあなたの英語力を上げる鍵なのです。


  • この記事を書いた人

    イングリッシュ・ドクター 西澤ロイ

    イングリッシュ・ドクター(英語のやさしい“お医者”さん)。
    英語が上達しない原因となっている「英語病」をなおす専門家。
    TOEIC満点(990点)、英検は4級。獨協大学英語学科を卒業。言語学を専攻。

    著書に「頑張らない英語」シリーズ(あさ出版)、新刊『英語学習のつまずき50の処方箋』(ディスカヴァー21)など、計11冊で累計17万部を突破(書籍の一覧はこちら
    日本人が「英語ができない時代」を終わらせることを目指して日々活動中。