ピコ太郎PPAP Song(ペンパイナッポーアッポーペン)の英語の発音ってどうなの?

 

...ピコ太郎PPAP Song(ペンパイナッポーアッポーペン)の英語の発音ってどうなの?


ピコ太郎さんのPPAP Songがすごい人気ですね!
全世界的に再生され、カバーされています。

オフィシャルの以下の画像は約5千万回再生されています。
意味はよく分からないですが、なんかクセになってしまいますよね。

PPAP(Pen-Pineapple-Apple-Pen Official)ペンパイナッポーアッポーペン/PIKOTARO(ピコ太郎)

さて、ピコ太郎さんの
「ペンパイナッポーアッポーペン(Pen-Pineapple-Apple-Pen)」
という英語の発音について、英語を教える人間としてちょっと書かせてください。

おそらくですが、多くの方は

apple が「アッポー」、
pineapple が「パイナッポー」

になっている時点で、英語っぽく聞こえているのではないでしょうか。

それは確かにその通りではあるのですが、ただしもう1つ、
日本人にとって非常に難しい発音が
「ペンパイナッポーアッポーペン(Pen-Pineapple-Apple-Pen)」
の中に含まれています。

ピコ太郎さんは、残念ながらその部分を全くの日本語発音で
発音していらっしゃるんです。

それがダメだということでは全くないのですが、
ちょっと「もったいない」と言えます。

きちんと通じる発音をしたい方にとっては
これは「盲点」かもしれませんので、
ぜひ知っておいていただきたいのです。

一体、それがどこだか分かりますか?

 

答えは

penの/n/の発音

です。

日本語の「ん」の音には、実は4通りの発音があります。
発音記号で書くと /n/、/m/、/N/、/ŋ/ であり、詳しいことは
wasabiさんの「Japanese Consonants: How to Pronounce ん」
の記事がご参考になるかもしれません。

日本語で「ペン」と言う時の「ん」の音は
発音記号で言うと /N/ になるのですが、
口の奥、のどの近く(専門的に言うと軟口蓋)で
空気の流れをふさぎます。

ピコ太郎さんが「I have a pen.」の「ん」を
発音している時はこんな口の形をしています。

ppap_pen

口が開いていて、舌(先)も下側にありますよね。
(舌の奥の方を使っているのです)

 

それに対して、英語の /n/ の発音は、
舌先が、口の上側にしっかりとくっつきます。


(画像引用元:wasabiさんの記事より)

なお、日本語で「みな」「おな」などと言う時と
同じ発音ですから難しいことは全くありません。

(ぜひ「みな」「おな」などと発音しながら、
舌の位置をしっかりと確認してくださいね)

ただし、
「ペン」
と言うよりも
「ペンン
と言うくらい、/n/ の音を強く出す必要が
あるのです。

↓ penの発音を確認したい方はどうぞ。

      29464

なお、これは日本人にとって一番難しい発音と言っても
過言ではないレベルの事柄です。

何が難しいかと言いますと、英語には /n/、/m/、/ŋ/ の
3つの音の区別が存在しますが、日本語では全て同じなんです。

だから
・sin(罪) [sin]
・sing(歌う) [siŋ]
とか
・sun(太陽)[sun]
・sum(合計)[sum]
の違いがきちんと聞き取れたり、自分できちんと
発音し分けられる日本人の方は非常に少ないのです。

そこにさらに、もう1つの音(/N/と表記する語尾の「ん」)が
混じってしまいます。

きちんとトレーニングをし、意識をしない限り、
日本人にはちゃんと区別・発音ができません。

そのくらい、ちゃんと発音できている人は少ないですから、
できていないことを否定する必要は全くありません。

しかし、きちんと通じる発音をしたい方にとっては
これは結構「盲点」なのです。

ですからぜひ、語尾の /n/ の正しい発音を練習して、
「ペンパイナッポーアッポーペン(Pen-Pineapple-Apple-Pen)」
をピコ太郎さんよりも上手く歌ってくださいませ(笑)。

P.S.
解説動画もどうぞ(5 Minutes Englishというラジオコーナーのバックナンバーです)。


  • この記事を書いた人

    イングリッシュ・ドクター 西澤ロイ

    イングリッシュ・ドクター(英語のやさしい“お医者”さん)。
    英語が上達しない原因となっている「英語病」をなおす専門家。
    TOEIC満点(990点)、英検は4級。獨協大学英語学科を卒業。言語学を専攻。

    著書に「頑張らない英語」シリーズ(あさ出版)、新刊『英語学習のつまずき50の処方箋』(ディスカヴァー21)など、計11冊で累計17万部を突破(書籍の一覧はこちら
    日本人が「英語ができない時代」を終わらせることを目指して日々活動中。