使役(~させる)のletとmakeの違い

 

...使役(~させる)のletとmakeの違い



「人に~させる」という場合に
let を使って「let+人+動詞(の原型)」のように言う場合と
make を使って「make+人+動詞(の原型)」のように言う場合がありますよね。

日本語にしてしまうとどちらも「させる」なので
分かりづらいのですが、英語だと全く異なる意味を
持つことをご存知でしょうか…?


let は言わば「放置プレイ」。
「相手がしたいようにさせる」という意味の「させる」です。
 
make は「『人が~する』という状況を作る」と考えればわかりやすいですが、
「仕向ける、強制する」ような意味があります。
 
では実際にGoopus Method(グーパスメソッド)で調べてみましょう。
 
出てきた英文の中から抜粋していくつかをご紹介します。
 

“let me do”

・Let me do whatever I want, OK?
 (何でもやりたいようにさせてくれよ、いいか?)
 
多分、いろいろと口出しをされているんでしょうね。
 
・Just let me do the job!
 (仕事をさせてくれ!)
 
日本語で「仕事をさせて」と言うと「雇って」という意味にもなり得ますが、
そういうことはなく、「仕事の邪魔をしないでくれ」というニュアンスですね。
 

“don’t let me”

・My parents don’t let me smoke inside.
 (両親は家の中ではタバコを吸わせてくれない。)
 
・They don’t let me call anybody.
 (電話もさせてくれないんだよ。)
 
「相手がしたいようにさせない」ということですから、「許可しない」という感じが出ますよね。
 
では make に行ってみましょう。
 

“make me do”

・Why Make Me Do All the Work?
 (どうして仕事を全部俺にやらせるの?)
 
強制的な感じがしますよね。
 
・Did my genes make me do it?
 (遺伝子のせいなのか?)
 
「仕向ける」ようなニュアンスがありますよね。
文字通り訳せば「遺伝子が私にそれをやらせたのか?」ということですね。
 
・Only love can make me do what I’m doin’.
 (俺は愛のためにしか動かない。)
 
文字通り訳せば「愛だけが、私がやっていることを私にやらせることができる」と回りくどいですので思いっきり意訳しました。
 
このように make の使役はとても日本語にしづらいです。
でも、「強制」や「仕向ける」感じはつかめましたか?

 

makeに関するおまけ

そうそう、make の使役で是非覚えていただきたい表現があります。
 
 make 人 want to ….
 
というものです。「~に…したくさせる」、日本語らしい表現にすると「(~が原因で)…したくなる」ですね。
とても便利な表現です。
 
“made me want”

・She made me want to be a teacher.
 (彼女がいたから私は教師になりたかった。)
 
・But her words made me want to know as much as I could learn.
 (彼女の言葉で、私はできるだけ多くのことを学ぼうと思うようになった。)
 
・It has made me want to work harder to become a professional musician.
 (そのお陰で、私はプロのミュージシャンになるための努力をした。)
 
“makes me want”
 
・Just thinking about it makes me want to cry.
 (そのことを考えるだけで泣きたくなる)
 
・I read this one once every few years or so and it always makes me want to go to law school.
 (この本は数年に一度読むけれど、いつもロースクールに行きたくなる。)
 
ほら、とても便利な表現ですよね。
是非活用してみてくださいね。
 


  • この記事を書いた人

    イングリッシュ・ドクター 西澤ロイ

    イングリッシュ・ドクター(英語のやさしい“お医者”さん)。
    英語が上達しない原因となっている「英語病」をなおす専門家。
    TOEIC満点(990点)、英検は4級。獨協大学英語学科を卒業。言語学を専攻。

    著書に「頑張らない英語」シリーズ(あさ出版)、新刊『英語学習のつまずき50の処方箋』(ディスカヴァー21)など、計11冊で累計17万部を突破(書籍の一覧はこちら
    日本人が「英語ができない時代」を終わらせることを目指して日々活動中。