百味ビーンズを英語で言うと?ニュアンスは?

 

...百味ビーンズを英語で言うと?ニュアンスは?


「百味ビーンズ」を英語では…?

こんにちは、イングリッシュ・ドクターの西澤ロイです。
 
ハリーポッターファンなら、気になるアイテムが
「百味ビーンズ」
ですよね。
 
でも「百味ビーンズ」が原書ではどういう英語で
登場しているかご存知ですか?
 
Every Flavor Beans
(イギリス表記なら Every Flavour Beans)
 
のように、every が使われているのです。
 
実はここに、日本語には訳せない、
非常に深いニュアンスが含まれているのです。
 

Every Flavor Beansに隠れたニュアンス

every という単語を「全て」とか「毎」などと
理解している方が多いのではないでしょうか。
 
確かに every day で「毎日」ですよね。
 
毎日というのは、1日も欠かさないということです。
 
「月 火 水 木 金 土 日」の全てであり、
抜けている日が(基本的に)ないのが
every day なんです。

 
つまり、Every Flavor Beans というのは、
「あらゆる味」
ということなんです。
 
日本語で「百味」と訳されているのは、
なんでも置いてあるデパートを「百貨店」と
呼ぶところからだと想像します。
 
でも、英語では、百でも千でも万でも
億でも兆でもないんです。
 
それだと every のニュアンスが
伝わらないんですよ。
(固有名詞という縛りもありますから、
訳すのは非常に困難なのです)
 

ロンのとても面白い発言

ロン(Ron Weasley)が百味ビーンズ(Every Flavor Beans)
に関して、非常におもしろい発言をしていますので、
原書から引用します。
 

When they say every flavour, they mean every flavour – you know you get all the ordinary ones like chocolate and peppermint and marmalade, but then you can get spinach and liver and tripe. George reckons he had a bogey-flavoured one once. (Harry Potter and the Philosopher’s Stone)

 
私なりに翻訳をつけるなら、こんな感じでしょうか。
 

「every flavor」という名の通り、本当に「あらゆる味」があるんだ。チョコとかペパーミント、マーマレードのような普通のもあるけど、ホウレン草とかレバー、もつだってあるし。ジョージは一度、鼻くそ味が当たったと思ってる。(ロイ訳)

 
ちなみに、tripe というのは正確には「(牛などの)胃」のことです。
 

ダンブルドア校長が食べたのは…

ダンブルドア(Dumbledore)校長の発言も非常におもしろいです。
 

“Ah! Bertie Bott’s Every Flavour Beans! I was unfortunate enough in my youth to come across a vomit-flavoured one, and since then I’m afraid I’ve rather lost my liking for them — but I think I’ll be safe with a nice toffee, don’t you?”
He smiled and popped the golden-brown bean into his mouth.
“Alas! Ear wax!” (Harry Potter and the Philosopher’s Stone)

 
これも翻訳をつけておきますね。
 

「あぁ、バーティー・ボッツのEvery Flavor Beansじゃないか。若いときに不運にもゲロ味に当たってしまって、それ以来、あまり好きじゃなかったんだが、でも甘いキャンディーと一緒だからまあ大丈夫だろう。」
ダンブルドア校長は琥珀色の一粒を口に放り込んだ。
「ゲッ、耳くそ…!」(ロイ訳)

 


  • この記事を書いた人

    イングリッシュ・ドクター 西澤ロイ

    イングリッシュ・ドクター(英語のやさしい“お医者”さん)。
    英語が上達しない原因となっている「英語病」をなおす専門家。
    TOEIC満点(990点)、英検は4級。獨協大学英語学科を卒業。言語学を専攻。

    著書に「頑張らない英語」シリーズ(あさ出版)、新刊『英語学習のつまずき50の処方箋』(ディスカヴァー21)など、計11冊で累計17万部を突破(書籍の一覧はこちら
    日本人が「英語ができない時代」を終わらせることを目指して日々活動中。