「時間がかかる」のtakeの使い方

 

...「時間がかかる」のtakeの使い方



こういうご質問をいただきました。

Q.「時間がかかる」という場合に it takes (me)… という言い方をしますが、
うまく使えません。どのように理解したらいいのか教えて下さい。
「私を連れて行った…」ということなんでしょうか?

takeの本来の意味

take は「取る」と訳されることが多いですが、
基本的には「手を使って何かを取る」ことを
表します。
 
例えば
He took my wallet.(彼が財布を盗った)
のように、場合によっては「盗る(とる)」
という意味にもなります。
 
つまり、take には「奪う」ような意味合いも
あることを押さえておきましょう。
 

「時間がかかる」は「it takes…」

以下の例文で考えてみましょう。
 
コンピュータの設定をするのに3時間かかりました。
It took me three hours to set up the computer.

 
まずですね、「時間がかかる」という場合には
it で文を始めます。
 
この it は文法的には「仮主語のit」などと呼ばれますが、
ひとまずそのことは脇に置いておきましょう。
 
it took…
このように言うことで「それが取った(奪った)」と言っています。
 
it が何だか分かりませんが、とりあえず
「何かが取った(奪った)のだ」
と思って下さい。
 

目的語が2つある構文(SVOO)は「受け渡し」を表す

そして、
it took me three hours…
という文で、take の後に名詞(目的語)が
2つあります。
me と three hours ですね。
 
文法的には、SVOO(第4文型)の構文に
なっています。
 
この構文は「受け渡し」を表し、
1つ目の目的語(ひと)に、
2つ目の目的語(モノ)を受け渡すという
意味合いを持ちます。
 
例えば He gave me a book. と言えば
「私(me)に本(a book)を」受け渡す、
 
She sent him a letter. であれば
「彼(him)に手紙(a letter)を」受け渡す
ということを表します。
 
そして、具体的な受け渡し方として、give したとか、
send したということを表すのです。
 

it takes…は「時間を奪う」

it took me three hours…
では「私に3時間を」受け渡すと言っています。
ただ、take ですので「渡す」のではなく
逆に「奪う」わけですが。
 
つまり、「私から3時間を取った」と言って
いるのです。
それにより「時間がかかる」ことを表します。
 
さて、「何が」それをしたかというと、
その後に
to set up…
とあり、このto不定詞がitのことを補足しています。
 
it = to set up the computer、
つまり、「コンピュータの設定をすること」だと
分かります。
 
それが本当の主語に当たります。
 

なぜ仮主語のitを使うのか?

その理由は、
英語は結論を先に言う言語だから
です。
 
ですので
「コンピュータの設定をするのに時間がかかった」
と言いたい時に
To set up the computer took me three hours.
のように言っても文法的には正しいですが、
 
まず「時間がかかった」ということを
伝えてしまいたい言語なのです。
 
ですから、it を使って
It took me three hours…
のように言ってしまいます。
 
そして、後からto不定詞で補足する、
というのが英語的な考え方なんですね。
 


  • この記事を書いた人

    イングリッシュ・ドクター 西澤ロイ

    イングリッシュ・ドクター(英語のやさしい“お医者”さん)。
    英語が上達しない原因となっている「英語病」をなおす専門家。
    TOEIC満点(990点)、英検は4級。獨協大学英語学科を卒業。言語学を専攻。

    著書に「頑張らない英語」シリーズ(あさ出版)、新刊『英語学習のつまずき50の処方箋』(ディスカヴァー21)など、計11冊で累計17万部を突破(書籍の一覧はこちら
    日本人が「英語ができない時代」を終わらせることを目指して日々活動中。