butとthoughの使い方の違いとは?(根本的に違うんです)

 

...butとthoughの使い方の違いとは?(根本的に違うんです)


こんにちは、イングリッシュ・ドクターの西澤 ロイです。
以下のご質問をいただきました。
 

ロイさんの英会話教材「Just In Case」で勉強していますが、
No.65の英作文「ボタンを押したが何も起こらなかった」
について質問させてください。
 
模範解答は
I pushed the button, but nothing happened.
となっていますが、私は
Though I pushed the button, nothing happened.
と書きました。これだと間違いでしょうか?

 

「正しい/間違い」では考えないでください

まず最初にお伝えしたいことは、
「正しい/間違い」
という捉え方をぜひしないでいただきたい、ということです。
 
どちらも正しい英文です。
意味が違うのです。
 
ですから、それぞれどのような意味に
なるのかをしっかりと理解してくださいね。
 

but と though は使い方が根本的に違う

but も though も、意味的には
「逆接」を表します。
 
ですから意味は非常に似ていますし、
だからこそ今回いただいたような
質問が出るわけです。
 
しかし、この2つの単語は根本的に
使い方が異なります。
 
ぜひその根本から押さえましょう。
まずは、butから説明します。
 

butは「等位接続詞」

文法的には、but は等位接続詞に
分類されます。
 
文法用語が難しいという方は
スルーしていただいて構いません。
 
but は、and と同じグループなのです。
 
and は、同じ要素同士をつなげる
という役割を持っています。
 
例えば
John and Bill(ジョンとビル)
であれば、名詞(人名)をつないでいますね。
 
hot and humid(暑くてじめじめする)
だと、形容詞をつないでいます。
 
I like this, and I like that, too.
(これが好き。そしてあれも好き)
のように言えば、2つの文をつないでいますね。
 
こうやって、同じ要素同士をつなげるのが
and や but の役割なのです。
 
I pushed the button, but nothing happened.
のように言ったならば、
「ボタンを押した」
「何も起こらなかった」
という2つの文を時系列にならべ、
「しかし」
という逆接でつないでいるのです。
 

thoughは「従属接続詞」

それに対して though は、文法的に分類するなら
「従属接続詞」になります。
 
これまた、文法用語が難しいという人は
スルーしていただいて構いませんが、
 
when(~の時)や if(もしも~なら)と
同じグループだとお考えください。
 
ちょっと日本語で考えてみましょう。
 
「私は5歳の時、ニンジンが嫌いだった」
という文において、
「ニンジンが嫌いだった」
がメインの内容であり、
「私は5歳(だった)」
というのはサブ的に、時の説明をしている
だけではありませんか?
 
「もし雨が降ったら、家にいるようにします」
でも同様です。
 
「雨が降る」という条件はサブに過ぎず、
文のメインはあくまでも
「家にいるようにする」
ことなのです。
 
文法的にはメインの文を「主文」、
サブの文を「従文」と言います。
 
文法用語は別に重要ではありませんが、
以下に図示したような主従関係
(メインがどれか)を掴んでおく必要が
あります。
 

 
これは英語にしても全く同じことです。
 
I hated carrots when I was five.
I’ll stay home if it rains.
 
英語では語順が逆になるのが普通ですが、
when I was five(私が5歳の時)
if it rains(もし雨が降ったら)
の箇所がサブ(従文)になります。
 

 
when や if、そしてご質問の though も
従文を後ろに従えることから、
「従属接続詞」
と呼ばれます。
 

等位接続詞と従属接続詞の違い

but(やand)は等位接続詞であり、
何でもつなぐことができます。
 
先ほど例に出しましたように、
名詞をつなぐこともできますし、
文をつなぐこともできるのです。
 
それに対して、従属接続詞は
基本的に「文」を後ろに従えるのです。
 
ですから、使い方がかなり違う
ことが分かってきたのではないでしょうか。
 

結論:but と though の違い

まとめます。
 
but を使って、
I pushed the button, but nothing happened.
のように言ったならば、2つの文を
同列に扱うことになります。
 
「ボタンを押した」
「何も起こらなかった」
という2つの出来事を時系列に、
同列に(逆接で)ならべているのです。
 

 
それに対して、
Though I pushed the button, nothing happened.
のように言った場合には、
「何も起こらなかった」
ことがメインとなります。
 

 
but と though の何が違うかと言われたら、
いま図示したような「関係性」が違う、
というのがシンプルな結論なのです。
 


  • この記事を書いた人

    イングリッシュ・ドクター 西澤ロイ

    イングリッシュ・ドクター(英語のやさしい“お医者”さん)。
    英語が上達しない原因となっている「英語病」をなおす専門家。
    TOEIC満点(990点)、英検は4級。獨協大学英語学科を卒業。言語学を専攻。

    著書に「頑張らない英語」シリーズ(あさ出版)、新刊『英語学習のつまずき50の処方箋』(ディスカヴァー21)など、計11冊で累計17万部を突破(書籍の一覧はこちら
    日本人が「英語ができない時代」を終わらせることを目指して日々活動中。