言葉は生き物なんです
Q.マクドナルドのコマーシャルに出てくる
I’m lovin’ it.
(アイム・ラヴィン・イット/アイムラヴィニット)
という表現は正しい英語なのでしょうか?
正しいのであれば、どういう意味になるのでしょうか?
ここでの love は「愛する」という意味ではなく、
like の強調で「大好き」。
元々の like も、進行形にして I’m liking ~. とは
言いません。
ですから、この意味での love も進行形にするのはおかしい。
・・・それが、従来の考え方です。
でも、言葉って「生き物」なんです。
エルビス・プレスリーの名曲「Love Me Tender」も本当なら
tenderly という副詞にしないといけないんですが、
プレスリーは形容詞をそのまま使っています。
日本語でも「やばい」という言葉が、良い意味で使われる
ようになってきています。
そうやって、新たな用法、新たなニュアンスが生まれていくんです。
進行形にできないとされる理由は「状態」を表すから
さて、loving をどのように捉えたらいいか、ということですが、
私ロイの解釈をお伝えしますね。
(ネイティブに確認したわけではないので、ネイティブは違うことを
言うかもしれません^^)
そもそも like が進行形にできないのは「好き」という“状態”を
表しているからです。
つまり、love を進行形にしているということは、単なる状態
だけではなく、“行動”をも含んで表しているということです。
ing形にすることで、意味を強調していますが、
マクドナルドを「強く愛している」というのはどういうことか?
例えばですが、「今まさにハンバーガーを食べている」
というのが一般的な解釈でしょうか。現在進行形ですからね。
「美味しい! 大好き!」みたいな。
また、考え方によっては
「頻繁にお店に行き、ハンバーガーを買って食べる」、
つまり「常連である」こととも考えられます。
進行形には「繰り返し」のニュアンスもありますから。
(日本語でも「叩いている」と言えば、叩くことを繰り返しています)
若者をターゲットにした言葉遣い
また、それが「友達と一緒」なのかもしれません。
そういう何かを it で表していますが、これは実は
「分かる人にだけ分かればいい」
という言葉の使い方です。
it で通じ合える仲というか、そういう「仲間感」があるんです。
つまり「love は進行形にすべきではない」「間違った英語だ!」
などと指摘する人(おそらく年配者)を、既に相手にしていない言語
なんだと思います。
I’m lovin’ it.
と言っているのを聞いて、素直に
Me, too!
と言える、マクドナルド好きの若者をターゲットにしている
感じがします。