英語のリスニングで「ゆっくり音声」を聞いてはダメな理由

 

...英語のリスニングで「ゆっくり音声」を聞いてはダメな理由


ゆっくり音声のリスニング教材はダメ!

こんにちは、イングリッシュ・ドクターの西澤 ロイです。
 
英語のリスニングが苦手、という日本人の方は
非常に多いと思います。
 
「早すぎて聞き取れない」
「英語のスピードについていけない」

という方も少なくないでしょう。
 
だから、
Please speak more slowly.(もっとゆっくり話してください)
と言って、ゆっくりしゃべってもらうことは
英会話をしていたら当然ありますよね。
 
しかし、リスニング教材や、リスニングのための
書籍でも、ネイティブにゆっくりしゃべってもらった
音声が収録されている場合があります。
 
私が、イングリッシュ・ドクターとして・・・
英語が上達しない原因を取り除く専門家として
口を酸っぱくしてお伝えしたいのですが、
 
ゆっくり音声のリスニング教材を使って
リスニングの練習をしてはいけません。

 
特に、無料で提供されている
VOAのLearning Englishをお使いの方もいらっしゃる
かもしれませんが、オススメいたしません。
 
その理由は2つあります。
 

ダメな理由その1:ネイティブはゆっくりしゃべれない

実際に英会話をしている時に
「プリーズ・スピーク・スローリー」
などと頼んだことのある方ならきっと
お分かりいただけると思うのですが、
 
ネイティブは、少しの間だけ頑張って
ゆっくり話そうとしてくれますが、
すぐに元のスピードに戻ってしまいます。
 
彼らには、ゆっくり話すという文化が
そもそもないんですよ。
 
日本人みたいに、相手に合わせて
ゆっくりしゃべってあげる・・・みたいなことは
やったことのない人が多いのです。
 

ダメな理由その2:ゆっくりの音声は不自然

そもそも、英語で音が変化する
(つながったり、落ちたりする)のは、
ある程度のスピードでしゃべろうとするからです。
 
もし、ゆっくり話そうとしてしまうと、
音が変化しなくなり、逆に英語として
「不自然」な音になってしまうのです。
 
つまり、ゆっくりした英語をたくさん聞き、
もし聞き取れるようになったとしても、
それはナチュラルな英語ではないため、
またさらに「スピードに慣れる」訓練が
必要になります。

 
それは学習上、余計な手間をかけて
遠回りをすることに他なりません。
 
最初から、ある程度早い音声でも
聞き取れるように、正しい意識をもって
正しいやり方でトレーニングをすることが
学習効率の上でも望ましいのです。
 

リスニングに関する大きな勘違い

そもそも、
「スピードについていけないから、
ゆっくりな音声を聞くことから始める」
というのは、大きな勘違いを含んでいます。
 
スピードについていけない理由は、
「英語が早いから」
ではないのです。
 
英語のスピードについていけない本当の理由は、
「意味を考えながら聞いているから」
なのです。

 
英語のリスニングには、
・「音を聞き取る」こと
・「意味を理解する」こと

という2つの作業が含まれます。
 
別々の2つの作業を同時にやらなければ
いけないことが、英語のリスニングを
難しくしている原因なんです。
 
でもここで「音を聞き取る」ことと
「意味を理解する」ことを一緒くたに
してしまっている人が(英語の先生も含め)
非常に多いのです。
 
後者の「意味を理解する」ことは、
要するに、リーディング力なんですよ。
 

リスニング力を効果的かつ効率的に高める方法

スキルを高める時の鉄則は、
高めたい1つのスキルに集中することです。

 
二兎追うものは一兎も得ず、
が当てはまるのです。
 
つまり、たくさんリスニングをしているのに、
リスニング力が高まらないという方は、
上記の2つのスキルを混同してしまっている
可能性が高いのです。
 
リスニング力を効果的かつ効率的に高めるためには、
「音を聞き取る」力(狭義のリスニング力)
を高めた上で、

それとは別に、英語のスピードについていけるだけの
「リーディング力(意味を理解する力)」
を身につけなければいけないのです。

 
これを別々に行なうことが
非常に重要です。
 
つまり、リスニングのトレーニング
としては、まずは
「音を聞き取る」
ことに集中しないといけないのです。
 
もちろん、スピードが早いままの英語を
リスニングするんですよ。
 
しかし、多くの方が、英語の音に集中せずに、
意味を考えながらリスニングを
してしまいます。
 
または、リスニング教材を聞き流したり
してしまっています。
 
それでは、英語の音を聞き取れる「耳」
(英語耳って言われたりしますね)
はなかなか身につかないのです。
 


  • この記事を書いた人

    イングリッシュ・ドクター 西澤ロイ

    イングリッシュ・ドクター(英語のやさしい“お医者”さん)。
    英語が上達しない原因となっている「英語病」をなおす専門家。
    TOEIC満点(990点)、英検は4級。獨協大学英語学科を卒業。言語学を専攻。

    著書に「頑張らない英語」シリーズ(あさ出版)、新刊『英語学習のつまずき50の処方箋』(ディスカヴァー21)など、計11冊で累計17万部を突破(書籍の一覧はこちら
    日本人が「英語ができない時代」を終わらせることを目指して日々活動中。