海外に行って英語が通じませんでした。発音はどう練習すればよいですか?

 

...海外に行って英語が通じませんでした。発音はどう練習すればよいですか?



こんにちは、イングリッシュ・ドクターの西澤 ロイです。
 
こういうご質問をいただきました。
 

Q.以前、海外へ行った時に頑張って知ってる単語で話したのですが通じず、発音の壁を感じました。
発音はどうやって練習すればいいですか?

 
これは、非常に難しいご質問であり、
一概にお答えすることができません。
 
ご回答としても少し長くなりますが、
こちらも真剣にご回答させていただきますので、
ぜひお付き合いください。
 

発音は「良い」に越したことはない

まず、前提として知っておいていただきたいのは、
発音というものは、良いに越したことはない
ということです。
 
悪いよりも、良い方が確実に得をします。
 
なぜなら、自分の発言が通じますし、
相手の英語も聞き取りやすくなります。
 
また、発音が上手な「初心者」っていないんですよ。
 
つまり、発音が上手ければ「英語ができる人」
として扱ってもらいやすいのです。
 
これは、非常に大きなメリットです。
逆の言い方をするならば「お客さん扱い」を
されないと言った方が分かりやすいでしょうか。
 
お客さん扱いをされてしまうと、例えば…
・手加減をした英語でしゃべられる
 (スピードやボキャブラリー)
・深い話や細かい話をしてくれない
といったことが起こります。
 
お客さんであっても、もちろん心を通わせることは
できるかもしれませんが、「親友」にはなかなか
なりづらいのです。
 
自分の言っていることを理解してくれない相手に
対して、誰にでもするわけではない「深い話」を
する人はあまりいないでしょう。
 
つまり、発音が下手くそだと、それだけで色眼鏡で
見られてしまうことが多々あります。
 
反対に、発音が上手であれば、下駄をはかせてもらい、
得をすることが多いといえるのです。
 
以上が言語における発音の大前提です。
 
発音は良いに越したことはありません。
だからしっかりとトレーニングをして、発音は
良くした方が絶対的に得をすると言えます。
 
ただし、だからと言って「発音をやりなさい」
という話にはならないのです。
 

苦手意識があるなら、発音は後回しの方がよい?

発音は、言語における重要な基礎です。
 
しかし、日本語と英語は音が違いすぎるために、
もし発音からやろうとすると結構大変です。
(本当は発音からやった方がいいんですよ)
 
ただ、日本人の大人は既に学校で、音ではなく
文字から英語を学んでしまっています。
 
また、英語に対する苦手意識を持ってしまって
いる人も少なくありません。
 
そういう人たちが、英語をやり直したい、と
思った時に、
「じゃあ、最初の3ヶ月は発音だけをやりましょう」
というのは全く現実的ではありません。
 
もちろん、発音は重要ですからやった方がよい
のですが、そればかりをやってよいわけでは
ないのです。
 
発音との「上手な付き合い方」をすることが、
つまり大切なんですよ。
 

本当に「発音が悪い」から「通じない」のか?

多くの人が勘違いしがちなのがここです。
 
自分の言った英語が通じなかった場合に、
「自分の発音が悪いのだろう」
と短絡的に結論を出してしまうのです。
 
もちろん、それが正しいこともあるでしょう。
 
しかし、世界的に見てみれば、日本人に限らず、
どこの国の人でも、発音は下手です(笑)
 
例えば韓国人は韓国語なまりがあり、例えば
taxi のことを「テクスィー」と言いますし、
if の F が発音できずに p の音になってしまい、
「イプ」と言ったりします。
 
これはほんの1例にすぎませんが、
例えばスペイン人であればスペイン語なまりが
ありますし、ロシア人であればロシア語なまり、
タイ人であればタイ語なまりがあるのです。
 
日本人に日本語なまりがあるのは当然なのです。
 
でも日本人は、日本語なまりのせいで英語が
通じない・・・と考えるのが好きなんですよね。
 
それ、本当に、本当なんでしょうか?
 
言語学的に言うと、発音よりも先に大切なものが
あります。
 
それは「発声」、つまり「声の大きさ」です。
 
日本人は、胸式呼吸の人が多いため、
声が小さい傾向があります。
 
それに対して、英語を母国語として育つと、
腹式呼吸が普通になり、強い息を出して
しゃべることになるのです。
 
逆に言うと、英語は「強い息でしゃべらないと
聞き取れない言語」です。
 
例えばS(sin)とSH(shin)とTH(thin)
のような微妙な音の違いは、息が強くないと
判断が難しいんですよ。
 
ですから日本人は、発音を学ぶよりも先に、
「強い息を出す」ことを学んだ方がよいのです。
 
拙著『頑張らない英語学習法』の中で、
ティッシュを使った練習方法をご紹介していますので
興味がある方はぜひご覧いただければと思いますが、
 
もっとシンプルな話として、
「英語を大声でしゃべる」
ことが大切なんですよ。
 
でも、日本人の多くは、自分の話す英語に
自信がないために、声まで小さくなりがちです。
 
ですから、まずは大声でしゃべることを
意識することが、発音よりもずっと大事なのです。
 

その上で発音を学びたいなら・・・

発声をやった上で、発音を学びたい・・・と
お考えであれば、たくさん書籍が出ています。
 
あまり細かいことを考えずに、まずは
自分に合っていそう/楽しそうな1冊を
書店で探し、発音練習をやってみてください。
 
発音というのは、自分では正しく発音できているかの
判断が難しいものです。
 
つまり、独学をすべきものでは本来はない、
と言えるかもしれません。
 
ですから、まずは書籍で学んでみてください。
 
そうしたら、今までよく分かっていなかった発音に関して
「何が分からないのか」がきっと明確になるでしょう。
 
そうすれば、もっと具体的なご質問がいただけ、
私ももっと詳しくご回答ができるようになります。
 
ぜひ、もっと突っ込んだご質問を
お待ちしております。
 


  • この記事を書いた人

    イングリッシュ・ドクター 西澤ロイ

    イングリッシュ・ドクター(英語のやさしい“お医者”さん)。
    英語が上達しない原因となっている「英語病」をなおす専門家。
    TOEIC満点(990点)、英検は4級。獨協大学英語学科を卒業。言語学を専攻。

    著書に「頑張らない英語」シリーズ(あさ出版)、新刊『英語学習のつまずき50の処方箋』(ディスカヴァー21)など、計11冊で累計17万部を突破(書籍の一覧はこちら
    日本人が「英語ができない時代」を終わらせることを目指して日々活動中。